徳島大学外科学の高須千絵氏

 女性医師にとっては子育て期間中に仕事に対する情熱を持ち続けるのは困難であり、また、仕事を続けることに精一杯でキャリアの形成まで意識が行き届いていないという現状が報告された。徳島大学外科学の女性医師16人を対象に行ったアンケート調査で明らかになったもの。同大学外科学の高須千絵氏が4月19日、日本消化器病学会の特別企画「女性消化器医師のキャリアアップ支援」で発表した。

 高須氏らは、女性医師が抱えている問題点を抽出し、今後のキャリアアップ支援に反映させていく目的で、医師60人を対象にアンケート調査(無記名)を行った。

 60人は全員が徳島大学外科に所属する医師で、女性16人(平均卒後年数9年、3-24年)、男性44人(平均卒後年数13年、3-32年)だった。女性外科医16人のうちわけは、消化器外科が7人、小児外科が1人、呼吸器外科が3人、一般外科が5人だった。女性医師の63%は結婚しており、うち67%が育児中だった。

 今回の発表では、女性医師の回答を中心とする結果が紹介された。

 まず周囲の理解度の面では、職場での上司および同僚ともに女性医師に対する理解があると感じると回答した女性医師は80%と高率だった。また、同僚に女性医師がいる割合は80%と高く、同僚の女性医師の存在が仕事継続の支えになっているとの声が多かったという。

 しかし、バックアップ制度の有無、制度の利用しやすさ、制度に対する満足度は、いずれも60%前後の評価でしかなく、環境整備に関してはまだ課題が多いことも浮かび上がった。たとえば、保育園の整備が必要との声があるものの、整備されている施設は1施設に過ぎないという現実があった。

 勤務に対する希望では、男性医師と同等の働きを希望するのは半数で、キャリアの早期形成を求める声も25%と低かった。学会・論文発表の免除を求める声も25%もあった。

 キャリアの意識の面では、ほぼ全員が臨床経験を積むことを挙げた一方で、学会・論文発表を始めとする業績、学会や大学でのポスト、さらに留学に対する意識は低いという結果だった。

 これらの結果から高須氏らは、「女性医師が働き続けることに周囲の理解は十分に深まってきている。今後は、外科を志した情熱を持ち続けられるような環境整備の促進と、女性医師自身の意識改革が必要である」と結論した。その上で、女性外科医師も自ら仕事を続けていく気概を周囲に示すことが求められるとし、特に今の世代がロールモデルとなって次につなげていくことが重要だと結んだ。

(日経メディカル別冊編集)