日本医科大学消化器内科の三宅一昌氏

 長期低用量アスピリンLDA)服用患者に見られる消化管出血は、小腸や大腸を含む全消化管がその出血源となりうる。心臓カテーテル検査(CAG)を行い長期LDA服用を必要とした虚血性心疾患患者を対象に、出血関連症状を有して上部・下部内視鏡検査を行った患者のデータを分析したところ、出血性潰瘍だけでなく早期・進行癌など多様な病変が確認されることが明らかになった。4月19日から東京で開催中の第98回日本消化器病学会(JSGE2012)で日本医科大学消化器内科の三宅一昌氏らが発表した。

 2005年10月〜2006年12月にCAGを実施した538人(平均年齢67.4歳、男性74.4%)のうち、出血関連症状(吐下血、または原因不明のヘモグロビン低下〔1.5g/dL超〕)を有し、精査のためにCAG後3年以内に上部・下部内視鏡検査を実施した患者のデータを分析した。

 上部内視鏡検査を行った患者は133人で、そのうち59人に出血関連症状を認め、24人(40.7%)に出血性上部消化管病変を確認した(消化性潰瘍17人、早期胃癌2人、進行胃癌4人、食道潰瘍1人)。出血性上部消化管病変を確認した24人は、確認しなかった患者に比べて、PPI併用率が低い傾向が見られた。

 一方、下部内視鏡検査を行った患者は43人で、そのうち30人に出血関連症状を認め、18人(60.0%)に出血性下部消化管病変を確認した(進行大腸癌5人、憩室3人、出血性直腸潰瘍3人、潰瘍性大腸炎2人、痔核2人、虚血性腸炎1人、回腸潰瘍2人)。出血性下部消化管病変を確認した18人は、PPI併用率が50.0%と病変を認めなかった患者(19.4%)に比べて有意に高かった(P=0.002)。

 三宅氏は、「出血関連症状を有する長期LDA服用患者の出血性消化管病変はさまざまで、多様な癌の発見契機にもなり得ると考えられる。PPIの併用については、アスピリン関連の上部消化管出血についてはリスクを軽減するも、下部消化管出血についてはリスクを増加させる可能性が示唆された」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)