津山中央病院(岡山県津山市)の竹中龍太氏

 高齢化に伴いNSAIDs低用量アスピリン(LDA)の服用患者が増えているが、一方で副作用による消化管出血消化管潰瘍リスクの上昇が指摘されている。2009年に「消化性潰瘍診療ガイドライン」が刊行され、NSAIDs/LDAによる消化管障害の予防に関するステートメントが発表された。その結果、津山中央病院(岡山県津山市)では、整形外科を除く診療科において、PPIや粘膜保護剤の併用が増加し、胃十二指腸潰瘍合併率が有意に減少していることが明らかになった。同病院内科の竹中龍太氏らが、4月19日から東京で開催中の第98回日本消化器病学会(JSGE2012)で発表した。

 同病院の患者のうち、2005年4月〜06年3月にNSAIDs/LDAを1カ月以上服用した患者913人(Before Guideline:BG群)と、2010年4月〜11年3月の同患者1181人(After Guideline:AG群)を対象に、患者背景、併用胃薬、胃十二指腸潰瘍や出血性胃十二指腸潰瘍の発生頻度などについて比較検討を行った。

 BG群は平均年齢69歳、男性58%、AG群は平均年齢72歳、男性47%であり、AG群の方が高齢で女性の占める割合が高かった。

 NSAIDsの種類については、AG群でCOX2選択的NSAIDsの使用が増加していた(BG群49人 対 AG群328人)。

 併用胃薬については、PPI服用がAG群で有意に増加していた(BG群10% 対 AG群32%、P<0.0001)。粘膜保護剤も有意に増加した(BG群20% 対 AG群39%、P<0.0001)。一方、H2受容体拮抗薬(H2RA)は有意に減少した(BG群25% 対 AG群9%、P<0.0001)。

 胃十二指腸潰瘍および出血性胃十二指腸潰瘍の頻度は、いずれもAG群で有意に低かった(胃十二指腸潰瘍: BG群10.4% 対 AG群3.9%、P=0.022、出血性胃十二指腸潰瘍:BG群4.3% 対 AG群0.49%、P=0.024)。

 診療科目別に見ると、循環器、心血管外科、内科、脳神経外科などの整形外科以外の診療科では、PPI投与率がAG群で増加しているが、整形外科では以前として低いままで(BG群32% 対 AG群22%)、AG群で発生した潰瘍8例のうちの6例が整形外科の患者だった。

 竹中氏は、「ガイドライン刊行後、NSAIDs/LDAにPPIが併用される機会は増加し、胃十二指腸潰瘍、出血性胃十二指腸潰瘍の頻度は低下していることが分かった。ただし、診療科別に見ると、整形外科ではPPIの併用率が依然として低いことが明らかになった。今後、内科でのフォローが重要と考えられた」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)