大阪府立急性期・総合医療センターの林晃正氏

 大阪府立急性期・総合医療センター林晃正氏(写真)らは、C.E.R.A. Continuous Erythropoietin Receptor Activator)を静脈内投与あるいは皮下投与したときの薬物動態と有効性の差異についての検討し、その結果を横浜で開催された日本透析医学会(JSDT2011)で報告した。

 新しい長時間持続型の赤血球造血刺激因子製剤であるC.E.R.A.は、従来の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)製剤であるエポエチンベータに比べて、エリスロポエチン受容体への親和性が48倍も低く、かつ解離速度は1.5倍も速く、血中濃度半減期が著しく長いことが分かっている。しかし、投与経路の違いが本剤の薬物動態や有効性にどのような影響を及ぼすのかは十分に検討されていなかった。

 対象は血液透析患者26人、腹膜透析患者27人とした。C.E.R.A.を静脈内あるいは皮下投与し、その薬物動態、薬力学的反応性(網状赤血球数の反応性)、有効性(Hb値維持効果)を投与経路間で比較検討した。

 まず、血液透析患者に本剤100、150、200μgを静脈内投与した時の血清中濃度の推移を検討したところ、投与量と血清中濃度-時間曲線のAUCの間には線形性が確認された。こうした線形性は腹膜透析患者に本剤100、200、300μgを皮下投与した場合にも認められ、AUCだけでなくCmaxとAUCの間にも線形性が確認できた。

 また、本剤100μgを投与した時の血中消失相の半減期(平均値±SD)は、静脈内投与時には168±50.0時間、皮下投与時には146±35.9時間であった。これらの値はエポエチンベータと比べると、静脈内投与時には16倍、皮下投与時には5.6倍にもなる。また、投与30分後(皮下投与したときのTmax)からの両投与経路の時間-濃度曲線はほぼ重なった。

 次に、本剤単回投与後4週間の網状赤血球数-時間曲線のAUCを調べたところ、静脈内投与した場合と皮下投与した場合で、その分布に違いは認められなかった。

 また、本剤を4週に1回、静脈内あるいは皮下投与して48週間追跡したときのHb値の推移を調べたところ、両群のHb値はいずれも10.0〜12.0g/dLの範囲内でほぼ同様に推移した。なお、44週時の本剤投与量(平均値±SD)は静脈内投与群79.3±58.2μg、皮下投与群76.1±43.3μgであった。

 さらに、48週後までの両群の目標Hb値(10.0〜12.0g/dL)維持率を調べたところ、静脈内投与群91.3%、皮下投与群86.4%と両群で高く、かつ同様であった。

 林氏はC.E.R.A.と従来のrHuEPO製剤の血液動態を比較し、本剤投与後には高い血中濃度が長期間持続するだけでなく、投与経路の違いによる血中濃度半減期の違いがほとんどないことを特徴として挙げた。

 以上の検討から林氏は、従来のrHuEPO製剤とは異なり、C.E.R.A.は静脈内投与時、皮下投与時を問わず、同一の用法・用量により貧血改善効果が期待できると結論した。

(日経メディカル別冊編集)