岡山済生会総合病院腎臓病センターの平松信氏

 新しい長時間持続型の赤血球造血刺激因子製剤であるC.E.R.AContinuous Erythropoietin Receptor Activator)は、皮下投与、静脈内投与、いずれにおいても4週に1回の投与頻度で安定したHb値維持効果が得られることが分かっている。6月17日から横浜で開催された日本透析医学会(JSDT2011)では、岡山済生会総合病院腎臓病センター平松信氏(写真)らが、腹膜透析患者に本剤を皮下投与した際の切り替え前後の貧血改善維持効果を検討し、その結果を報告した。

 平松氏らの施設からは、腹膜透析患者を対象とした本剤の継続試験に6例が参加した。今回の研究では、投与中の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)製剤を本剤の月1回皮下投与に切り替え、切り替え前後の貧血改善維持効果を検討した。

 主な選択基準は、月1回以上の頻度でrHuEPO製剤が投与されており、登録前8週間の平均Hb濃度が10〜12g/dL、鉄飽和度が20%以上あるいは血清フィリチン値が100ng/mL以上の患者とした。

 本剤の初期用量は、rHuEPO製剤の投与量が4500IU/週未満の症例では100μg、4500 IU/週以上の症例では150μgとし、4週に1回、8週間投与した。その後の維持投与期には、目標Hb値を10〜12 g/dLとし、本剤の用量を調節しながら4週に1回、40週間投与した。

 解析対象となった6例の患者背景は、男女が3例ずつ、平均年齢64.3±4.5歳、平均腹膜透析歴3.4±2.2年で、原疾患は糖尿病性腎症が4例、慢性糸球体腎症が2例、平均Hb値は11.2±0.6g/dLであった。なお、rHuEPO製剤から切り替えた時の本剤の初回用量は100μgが2例、150μgが4例であった。

 切り替え前後のHb値の推移をみると、本剤投与後にHb値は上昇し、かつ11g/dL以上、12g/dL未満の範囲で安定して推移した。本剤投与量は試験期間の後半には漸減する傾向があった。

 また、48週が経過して本剤をrHuEPO製剤あるいはダルボポエチンアルファ(DA)に切り替えたところHb値は低下した。その理由として平松氏は、rHuEPO製剤あるいはDAへの切り替え後の投与量を、本剤投与前のrHuEPO製剤最終投与量を基に換算したことが関係している可能性があると指摘した。

 さらに平松氏は具体的な症例を提示し、Hb値は緩やかであっても上昇し続けたときには、上限値に達する前に減量を考慮することが望ましいなど、本剤の使用上のポイントとなる知見を紹介した。

 なお、試験期間中に本剤とは関連性のない有害事象として気管支炎、髄膜炎がそれぞれ1例で発現したが、副作用および皮下投与時の疼痛、臨床上問題となるような臨床検査値の変動は認められなかった。

 このように、腹膜透析患者ではC.E.R.A.を4週に1回皮下投与することで、Hb値をガイドラインの目標値である11g/dL以上に維持することができ、作用が長時間持続する本剤特有の新たな副作用は発現しなった。

 平松氏は、「本剤は腹膜透析患者の通院頻度と同頻度の投与でガイドラインの目標値を達成しうることから、腎性貧血治療薬の第1選択薬となると考えられる」と語った。また、日本透析医学会の統計調査では、腹膜透析患者のHb値は改善しつつも血液透析患者に比べて低かったが、C.E.R.A.の登場によってその差がなくなることが期待されると述べて、講演を締め括った。

(日経メディカル別冊編集)