大阪市立大学の庄司哲雄氏

 血液透析患者への活性型ビタミンD製剤の使用は、心血管疾患CVD)発症後の死亡リスクではなく、CVDの発症リスクに関与することが示された。横浜で開催された日本透析医学会(JSDT2011)で、大阪市立大学代謝内分泌病態内科学の庄司哲雄氏(写真)が発表した。

 透析患者のコホート研究で、活性型ビタミンD製剤使用群は、非使用群に比べ、CVDリスクが低いことが報告されている。しかし、活性型ビタミンDが、CVDの発症リスク、発症後の死亡リスクのいずれに関連するかは明らかではなかった。そこで庄司氏らは、活性型ビタミンD製剤の使用がCVDに及ぼす影響を、発症リスクと発症後の致死リスクに分けて解析した。

 日本透析医学会統計調査委員会のデータセットから、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血の既往がなく、解析のためのデータがそろっている4万9659例を抽出し、2004年末から2005年末までのアウトカムとの関連を多変量ロジスティック解析した。

 抽出したデータのうち、活性型ビタミンD製剤を使用していたのは57%に当たる2万8307例(うち経口薬が2万380例、静注薬が8338例、一部に併用を含む)だった。CVDイベント発生数は3134例(心筋梗塞1110例、脳梗塞1695例、脳出血727例)。総死亡は2603例、心筋梗塞発症後の死亡は131例、脳梗塞発症後の死亡は85例、脳出血発症後の死亡は161例だった。

 解析の結果、活性型ビタミンD製剤使用は、CVDの発症については相関が認められたが(オッズ比:0.86、95%信頼区間:0.80-0.93)、発症後の死亡については認められなかった(0.93、0.74-1.18)。このことから、活性型ビタミンD製剤の使用は、CVDの発症リスクに関与していることが示された。

 また今回の解析では、活性型ビタミンD製剤のほかにもリン吸着薬の使用、主要ラボデータと、CVD発症リスク・発症後の致死リスクについても検討した。

 リン吸着薬を使用していたのは4万2004例で、解析対象の85%を占めた。リン吸着薬のうち沈降炭酸カルシウム使用は3万5828例(72%)、セベラマー塩酸塩の使用は1万1773例(24%)などだった。リン吸着薬の使用は、CVDの発症(0.84、0.75-0.94)、発症後の死亡(0.71、0.52-0.97)ともに相関を認めた。このほか、血清補正カルシウム高値がCVD発症後の死亡リスクと関連した(1.21、1.07-1.36)。

(日経メディカル別冊)