日本透析医学会バスキュラーアクセスガイドライン改訂委員会の久木田和丘氏

 2005年に初版が発行された慢性血液透析用バスキュラーアクセスガイドラインが改訂され、近く2011年版として発行されることが明らかになった。横浜で開催された日本透析医学会(JSDT2011)で、日本透析医学会バスキュラーアクセスガイドライン改訂委員会の久木田和丘氏(札幌北楡病院人工臓器治療センター長、写真)が発表した。

 慢性血液透析は反復して施行されるため、血管とのアクセス部であるバスキュラーアクセス(VA)は穿刺が容易で必要な血流量が確保でき、長期に良好な開存性が求められる。VAの作製と修復の基準をまとめた2005年の初版ガイドラインでは、自己血管使用皮下動静脈瘻(AVF)と人工血管使用皮下動静脈瘻(AVG)を分けるなど、「どちらかというとVAの種類別にまとめられていた。これを今回の改訂では、VA作製と術前・術後管理、日常管理、トラブルの管理というように、時系列的に構成したのが特徴だ」(久木田氏)。

 また、日本透析医学会エビデンスレベル評価ワーキンググループが、ガイドライン表現は、腎臓病ガイドラインに関する国際機関である「Kidney Disease Improving Global Outcomes」(KDIGO)の表記に従うと決定したことを受けて、今改訂では推奨度をレベル1と2、エビデンスの質をAからDの4段階とし、エビデンスのないものはグレードなしの「expert opinion」とした。

 「以前は腎不全として捉えていたが、近年では慢性腎臓病CKD)として捉えるようになっており、この指標を反映した」(久木田氏)。具体的には、2005年版では「腎不全専門医への紹介:血清クレアチニン(Cr)2〜3mg/dL」「VAの作製:クレアチニンクリアランス(Ccr)10〜20mL/mまたは血清Cr6〜8mg/dL」としていた基準を、2011年版では「腎不全専門医への紹介:推算糸球体濾過量(eGFR)50mL/min/1.73m2以下、蛋白尿0.5g/Cr以上、蛋白尿と血尿が共に陽性(+1以上)」「VAの作製:eGFRが30mL/min/1.73m2以下(CKD病期4と5)と臨床症状を勘案し、VA作製時期を考慮する。溢水傾向を示しやすい糖尿病性腎不全ではより高値のeGFRで」に変更した。

 VA作製前の全身・局所・血管の評価では、視診・触診で作製部位を決定できない場合は超音波検査を行うと明記した。VA作製の周術期管理では、作製における第1選択部位、吻合法、スパスム(れん縮)対策、抗血小板薬の使い方などについて追加。人工血管の種類として、新たに発売されたpolyolefin-elastomer-polyester(PEP)製も加わった。そのほかカテーテルの名称を保険収載の記載との整合性を図り「非カフ型カテーテル」と「カフ型カテーテル」に分類し、また「心機能」を「心予備能」として定義した。

 VAトラブルは、新たに瘤とアクセス関連痛を加えて、トラブル別に見直した。
 
(日経メディカル別冊編集)