中紀クリニック血液浄化センター(現・和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部)の藤田寿実子氏

 透析間の体重増加率は一般に、中1日の場合で3%以内、中2日の場合で5%以内が好ましいとされる。中紀クリニック(和歌山県御坊市)血液浄化センターの藤田寿実子氏(写真、現所属は和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部)らは、中2日透析間体重増加率と生命予後との関係を5年間の前向きコホートで検討。ベースライン3カ月間の平均体重増加率が4〜5%または5〜6%だった群の死亡率が最も低かった成績から、「透析間体重増加率は中2日で5%前後が望ましい」と、横浜で開催されていた日本透析医学会(JSDT2011)で報告した。

 透析間の体重増加が多ければ、体水分量が増え、それだけ心臓への負担が大きくなる。日本透析医学会の統計調査によると、透析患者の死亡原因は、依然として心不全が1位だ。従って体重コントロールが、生命予後の鍵を握るともと言える。

 藤田氏らはこれまで、透析間体重増加率と栄養関連指標との関連を検討してきた。同クリニックの透析患者103人(平均年齢63.9歳、平均透析期間103.6カ月)で、2009年4月〜6月の3カ月間における中2日透析間体重増加率の平均を算出。同時期に測定した各種栄養関連指標との相関を調べた。

 すると、体格指数(BMI)、ドライウエイトが体重増加率と有意な負の相関、血清リン値、BUN値と体重増加率が有意な正の相関を示した。アルブミン値は、この検討では有意な相関が見られなかったが、和歌山透析研究会栄養士部会の多施設共同研究では、体重増加率との間に有意な正の相関が認められた。これらの結果から、栄養状態を良好に保つためには、ある程度の体重増加は容認せざるを得ないと考えられたという。

 さらに今回、中2日透析間体重増加率と生命予後との関連を検討した。上記の対象103人中、2005年の1年間を通じて各種検査値が得られた85人(平均年齢62.5歳、平均透析期間92.9カ月)について、2006年1月から2010年12月までの5年間、生命予後を前向きに追跡し、体重増加率ごとの年間死亡率を算出した。

 体重増加率の分布を1%間隔で調べると、5〜6%の症例が最も多く、20例以上を数えた。85例の平均は6.1%だった。

 年間死亡率は、体重増加率が4%以上5%未満の群で最も低く1.8%、次いで、体重増加率5%以上6%未満群の3.6%だった。一方、体重増加率4%未満群の年間死亡率は6.7%、体重増加率6%以上7%未満群でも5.3%と高かった。

 ただし、体重増加率が7%以上8%未満の群では年間死亡率が2.5%と低かった。これは、この群における透析時間が4.7時間(85例全体では平均4.5時間)と最も長かったことが関与していると考えられた。

 以上より藤田氏は、「透析間体重増加率は一般に適正とされているレベルと同じ、中2日で5%前後が望ましいと考えられた。ただ、透析時間が長ければ、例えば6%以内とやや高くても許容範囲と推測された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)