日本透析医学会統計調査委員会の中井滋氏

 これまで増加傾向にあった日本の透析人口が、2017年末の約32万人をピークに減少に転じると推計されることが明らかになった。また、透析人口に占める高齢者の割合は急速に増加し、2020年末には60歳以上の患者が全体の86%を占めると推計された。横浜で開催された日本透析医学会JSDT2011)で、日本透析医学会統計調査委員会の中井滋氏(藤田保健衛生大学、写真)が発表した。

 日本透析医学会統計調査資料によると、1966年の調査開始以来、日本の透析人口は一貫して増加しており、2009年末時点の透析人口は29万661人と30万人に迫っている。

 一方、透析人口の年間増加率(増加速度)は年々減少しており、1984年の年間増加率は12.8%であったのに対し、1994年は7.0%、2004年は4.4%、そして2009年は2.6%と、直線的に低下している。この傾向が今後も変わらないと仮定すると、わが国の透析人口の年間増加率は2015年〜2016年に0%、つまり透析人口の増加が停止する見込みだという。同委員会は、この年間増加率の推移に基づき、2025年末までの透析人口を推計した。

 その結果、日本の透析人口のピークは2017年末の31万9677人で、それ以降、減少に転じることが示された。年齢別では、75歳以上では2024年末の13万1895人、60〜74歳では2015年末の14万3834人がピークと推計された。45〜59歳のピークは2005年末の7万2497人(補正値)と見られ、既に減少に転じている。0〜19歳および20〜44歳のピークは1992年以前で減少し続けている。

 年齢構成で見ると、2020年末には透析人口全体の86%を60歳以上が占めると予想された。

 主要3原疾患別では、糖尿病性腎症が2019年末に12万7326人、腎硬化症が2026年末に3万7075人がピークと推定された。糸球体腎炎のピークは2005年末の11万2268人(補正値)となった。

 さらに、透析導入数の年間増加率の推移から、今後の年間導入数を推計した。すると、導入全数ピークは2008年の3万8180人(実績)で、既に減少傾向にあることが示された。実際、2009年1年間の導入患者数は2008年値に比べて減少していた。年齢別では、75歳以上は2014年頃にピーク(1万3600人前後)を迎え、45〜75歳は減少していき、20〜44歳は2400人前後で横ばい傾向が続くと推測された。

 年間死亡患者数の年間増加率については、1984年から1999年までは低下していたが、2000年から2009年までの10年間では増大傾向にある。年間死亡数のピークは2024年の3万2430人と推計された。

 今回の推計よりも患者数を押し上げる要因としては、人口構成の変化(団塊の世代の高齢化)や、生活習慣病患者の増加などが考えられる。一方、患者数を押し下げる要因としては、腎移植の増加、透析を受けずに亡くなる高齢腎不全患者の増加、糖尿病や高血圧の管理向上による原疾患の減少などが考えられる。

 中井氏は「高齢化に伴い透析人口は今後も増え続けるという認識は誤りだ。新規導入数の減少傾向と死亡数の増加傾向は明らかであり、透析人口はここ数年で減少に転ずるだろう。高齢者の割合が急増していくことから、透析医療は終末期医療の一環として位置付けられるようになるかもしれない」と述べている。

(日経メディカル別冊編集)