聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科の谷澤雅彦氏

 80歳以上の超高齢血液透析患者の早期死亡に影響を与える導入時要因を解析した結果、低栄養、低血圧、短期カテーテルの導入が必要な場合(緊急導入)の3つが有意なリスクであることが明らかになった。6月17日から横浜で開催されている日本透析医学会(JSDT2011)で、聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科の谷澤雅彦氏(写真)が発表した。

 透析導入しても機能的予後、生命予後が短いと予想されるにも関わらず、透析導入される超高齢患者が増えている。導入後予後が見込めない場合には非導入の選択も検討すべきだが、導入後早期予後やその規定因子は明らかになっておらず、判断が難しいのが現状だ。そこで谷澤氏らは、80歳以上の高齢患者の導入後早期予後、早期死亡に影響を与える導入時要因を検討した。

 日本透析医学会統計調査委員会のデータセットから、最大1年間の予後追跡が可能であり転帰が判明している、2007年に透析導入された80歳以上の患者5181人のデータを抽出。3カ月、6カ月、1年の死亡割合を調べたところ、それぞれ820人(15.8%)、1133人(21.9%)、1555人(30.0%)だった。欧米のデータと比較すると、1年死亡割合は日本の方が低いものの、3カ月死亡割合は同等だった。

 また上記のうち導入時要因のデータが充足している患者654人を、3カ月以内に死亡した早期死亡群(99人)と非早期死亡群(555人)に分けて、早期死亡に影響を与える要因について解析した。その結果、低アルブミン(低栄養)、低血圧、短期カテーテルでの導入(緊急導入)が有意なリスク因子だった。併存疾患は心筋梗塞のみがリスク因子として特定された。原疾患は急速進行性糸球体腎炎RPGN)が最も多かった。

 実際に、聖マリアンナ医科大学病院で2004〜2008年に新たに血液透析導入した80歳以上の患者50人中、平均観察期間894日(27〜1708日)で死亡した患者14人(28%)の導入後生存期間は、平均327.2日(30〜1111日)だった。原疾患はRPGN、死因は感染症が最多で、約半数が緊急導入だったという。

 「早期死亡が予想される高齢患者であっても、透析導入基準を満たすと導入せざるを得ないケースが多いと推察される。低栄養、低血圧、短期カテーテルでの導入が必要な場合は、患者のQOLの保持、肉体的・精神的苦痛の解除の観点から、保存的加療を行う選択肢も模索しなければならないのではないか」と谷澤氏は指摘した。

(日経メディカル別冊編集)