第二六島クリニックの片山正哉氏

 透析患者の皮膚掻痒症は、透析患者が普段服用している降圧薬、抗血小板薬などによる薬剤アレルギー反応によっても起こる可能性のあることが明らかになった。横浜で開催された日本透析医学会(JSDT2011)で、第二六島クリニック(兵庫県尼崎市)の片山正哉氏らが報告した。薬剤誘発性リンパ球刺激テストDLST)で陽性と出た薬剤を中止すると、ほとんどの患者で痒みの程度が軽減したという。

 皮膚掻痒症は、透析患者の3分の2で認められる。長時間にわたって頻回に起こり、程度も強く、睡眠や精神心理の面からもQOLを大きく低下させることが、わが国で行われた調査より明らかにされている。

 原因または誘因については、血液透析に関する国際的アウトカム研究として行われた大規模観察疫学研究DOPPS(Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)において、中等度から極度の掻痒症と患者背景との関係が多変量解析された。その結果、腹水、血清カルシウム(Ca)高値、血清リン(P)高値、C型肝炎などが補正オッズ比を高める因子であることが示された。

 しかし、少なくともわが国の透析現場では、にわかに首肯しがたい内容だ。一方、薬剤の影響という側面から検討した報告もわずかながら見られる。前出のわが国の調査では、掻痒を有する患者は掻痒のない患者と比べ、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の服用率が高いという結果が得られている。

 片山氏らは今回、透析患者の皮膚掻痒症の誘因について、薬剤アレルギーの観点から検討した。対象は、同クリニックに現在通院中の全透析患者143人(平均年齢68.8歳、平均透析期間7.4年)。

 まず、痒みの程度を痒みスコア(最高24点)で調べると、大半は0か1の軽度だったが、10点以上の中等度、重度の症例も認められた。この痒みスコアと関連する因子について、単変量・多変量解析を行うと、年齢、透析歴、性別、糖尿病、β2ミクログロブリン値、好酸球数、補正Ca値、P値、Ca×P値、副甲状腺ホルモン(PTH)値は関連が見られず、関連したのはアルブミン値だけだった(p=0.032)。

 そこで次に、24例でDLSTを行ったところ、15例(63%、全症例の10%)でDLST陽性の薬剤(計11薬)が見つかった。検体別では61検体中22検体(36%)が陽性だった。

 具体的な薬剤では、例えばバルサルタンで4検体中4検体、イルベサルタンで2検体中2検体、カルベジロールで8検体中5検体、フロセミドで4検体中2検体、アムロジピンで3検体中1検体、アスピリンで6検体中2検体が陽性だった。

 陽性と出た薬剤を12例で中止してみると、痒みスコアはほぼ全例で低下し、平均スコアは有意な低下が認められた。

 片山氏は「DLST検査には偽陽性、偽陰性も多く、結果の解釈には慎重さが求められる。だがDLST陽性薬の中止によってほとんどの患者で掻痒の程度が軽減したことを考えると、薬剤アレルギーも透析患者の皮膚掻痒症の一因である可能性は否定できない。日常的に服用している薬剤を中止することは、なんらかの根拠がないと難しい。DLSTは高価だが、その根拠になり得る」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)