国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター神経内科の荒木邦彦氏

 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などプリオン病の早期診断・鑑別には、MRIの拡散強調画像(DWI)に加え、SPECTを併用することが有用である可能性が示された。国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター神経内科の荒木邦彦氏が、11月10日まで長野県松本市で開催されていた日本認知症学会(JSDR2013)で発表した。

 我が国のプリオン病の年間発症率は100万人に1人程度とされ、一般医療機関ではめったに遭遇しない疾患だが、進行が早いため、早期診断が重要となる。DWIは診断の中心的な役割を果たしている。

 米国疾病対策センター(CDC)の2010年版の孤発性プリオン病疑い例(probable)の診断基準を、視覚異常などの4つの臨床的特徴のうち2つと、MRIのDWIまたはFLAIR画像で尾状核、被殻の高信号など3つの臨床検査のいずれか1つが陽性の場合としている。

 しかし、てんかんや髄膜脳炎などもDWIで高信号を呈することがあるため、荒木氏らは、DWIと同時期にSPECTを撮り、併用の有用性を検討した。

 対象はプリオン病患者16人(うち男性7例)、発症時年齢は64.6歳。3人が2回撮像し、計19所見を検討した。その結果、全例(100%)にDWI高信号が認められた。

 DWI高信号域では15例(79%)でSPECTの低潅流を示した。また、16例(84%)では、基底核、小脳、海馬でDWIが高信号を示さず、SPECTが高潅流を示した。

 DWIの高信号所見は、プリオン病においては海綿状変化やグリオーシス、神経細胞脱落を反映する。SPECTの低潅流はこのような脳神経細胞の変成過程で脳血流が低下する病態を見ているとされる。

 荒木氏は、「脳炎やてんかんでは神経細胞の活動性亢進を反映してSPECTが高潅流を示し、プリオン病とは明らかに異なる。DWI高信号域でSPECTが低潅流を示した場合や、基底核、小脳、海馬、中心溝周囲にSPECT高潅流域を認めた場合はプリオン病を想定する必要がある」とし、「DWI高信号域を認めたものの診断に苦慮した場合、SPECT検査が有用」と結論した。