抗血管内皮増殖因子抗体製剤ベバシズマブの発売に伴って行われた特定使用成績調査(全例調査)の集計結果(第一報)がまとまり、重篤な副作用の発現状況は海外の市販後試験での発現状況とほぼ同様であることが明らかとなった。10月30日から11月1日に名古屋市で開催された日本癌治療学会で中外製薬の岩崎順子氏が発表した。

 ベバシズマブは、治癒切除不能な結腸・直腸癌が適応になっているが、国内における治験症例が極めて限られていることから、安全性と適正使用の観点より製造販売後一定期間の全例調査の実施が義務付けられていた。

 特定使用成績調査は、ベバシズマブの使用実態の把握と副作用の発現状況の確認を目的として、ベバシズマブを投与された全患者を対象に実施された。目標症例数は2500人だった。方法は、中央登録方式による事前登録で、観察期間(投与開始から6カ月間)終了後に調査票を回収した。また、7月(販売開始1カ月後)、9月(3カ月後)、12月(6カ月後)時点での副作用発現状況の調査票をコピー回収した。

 実際の調査の登録期間は5カ月間(2007年6月11日から2007年11月9日)までで、登録症例数は2712人、契約施設数は730、登録施設数は574だった。

 登録症例2712人から非投与などを除いた集計対象の患者数は2698人で、男性が60.5%にあたる1631人を占めていた。年齢の中央値は61.0歳(15-86)で、PS 0の患者が2191人(81.2%)だった。

 治療ラインとしては1次治療として利用されたのが1238人(45.9%)、2次治療として利用されたのが1417人(52.5%)だった。原発巣がない患者が2206人(81.8%)、転移・再発巣がある患者が2654人(98.4%)だった。併用化学療法としてはFOLFOXが1716人(63.6%)で最も多く使われ、そのうち62.5%が1次治療として用いられた。FOLFIRIは777人(28.8%)で利用され、2次治療として利用された場合が84.3%と最も多かった。

 ベバシズマブの投与量は5mg/kgが2495人(92.5%)、10mg/kgが168人(6.2%)だった。投与回数の中央値は9回(1から17)で、10回以上投与された患者が1255人おり、観察期間終了時点での投与継続患者も1383人いた。

 副作用の発現症例数は全体で1589人(58.9%)で、重篤な副作用は381人(14.1%)だった。30日以内の全死亡数は12人(0.44%)で、ベバシズマブとの因果関係が否定できない患者が6人いた。

 ベバシズマブに特徴的な副作用は高血圧(非重篤12.6%、重篤0.4%)、出血(全体、非重篤9.9%、重篤1.4%)、出血(鼻出血、非重篤7.1%、重篤0.2%)、蛋白尿(非重篤4.0%、重篤0.1%未満)、消化管穿孔(非重篤0.0%、重篤0.9%)、静脈血栓塞栓症(非重篤0.0%、重篤1.3%)、動脈血栓塞栓症(非重篤0.1%未満、重篤0.3%)、創傷治癒遅延(非重篤0.9%、重篤0.3%)、可逆性後白質農相(非重篤0.0%、重篤0.1%未満)だった。65歳未満と以上で副作用の発現率に大きな差はなかった。また初回投与量による発現率の大きな差もなかった。高血圧は投与開始後比較的早期に出現し、出血は比較的中期に出現した。副作用の発現傾向は、海外の大規模観察研究における結果と同様だった。