進行・再発胃癌に対して最初に行う標準治療としては、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)とシスプラチンの併用が挙げられる。しかし、75歳以上の高齢者では、S-1のみの投与で十分な有効性が示されたと、東京癌化学療法研究会の樋口勝彦氏が、第46回日本癌治療学会総会で発表した。

 対象は、これまで化学療法を行っていない75歳以上の進行・再発胃癌患者33人(男性20人、女性13人、平均年齢80歳)。投与スケジュールは、S-1を4週投与の後、2週休薬とした。全身状態のよい患者が大半を占めた。抗腫瘍効果は、完全奏効1人、部分奏効6人と奏効率21.2%で、若年者に比べるとやや低い数値となった。全生存期間中央値は15.7カ月で、1年生存率は61.7%だった。治療関連死はなかった。治療成功期間中央値は3.2カ月だった。

 治療成功期間が3.2カ月未満とそれ以上だった患者の間で治療法を比較すると、成功期間が長い患者ほど、二次治療への移行率が低かった。そこで、二次治療の有無で全生存期間を比べたところ、一次治療のみ群19.2カ月、二次治療あり群15.7カ月と、両群に有意差は認められなかった。樋口氏は、「高齢者については、一次治療のみでも良好な生存期間が得られることが分かった」と述べた。有害事象については、血液毒性や口内炎、食欲不振、色素沈着、疲労が若年者よりも高頻度に見られた。

 樋口氏は、「腎機能が低下した患者も含めて薬物動態を調べたところ、高齢者と若年者で明らかな差はなかった。75歳以上というだけでS-1を減量する必要はない。もちろん、腎機能を考慮した減量は必要だが、S-1単剤で十分な安全性・有効性が期待できる」とまとめた。