手術不能な高齢肺癌患者に対し、肝癌の代表的な内科的治療法であるラジオ波焼灼療法が有用かもしれない。岡山大学呼吸器外科の佐野由文氏は、第46回日本癌治療学会総会でこう報告した。

 佐野氏らは、2001年6月から2008年4月までにラジオ波焼灼療法を行った364人(計649回、1011病変)を80歳以上の26人(平均年齢83.8歳)と残りの80歳未満に分けて検討した。26人のうち、ラジオ波焼灼療法を行えなかったのは2人で、92.3%に施行できた。患者背景を比較したところ、80歳未満群の方がより病期が進行していても実施する傾向にあり、1回のラジオ波焼灼療法で焼灼する病変の個数についても、平均5.35回と、80歳以上群での平均4.04回に比べて有意に多かった(p=0.047)。

 治療関連死は両群ともになく、胸膜炎や気胸、胸水貯留などの合併症の頻度や局所再発率についても、両群間で差はなかった。ただし、80歳未満群では局所再発を来した58%に再焼灼が可能だったのに対し、80歳以上群では25%と、実施が困難な例が多かった。

 1年生存率は80歳以上群で76.2%、80歳未満群で84.1%、3年生存率は80歳以上群で68.6%、80歳未満群で59.3%と、両群に差はなかった。数は少ないが、80歳以上群をステージ別に分けてさらに検討したところ、3年生存率はIA群87.1%、IB群53.3%、II・III群0%となり、病期が進むにつれて生存率が低下する傾向がみられた。

 佐野氏は、「ある程度の合併症は避けられないことから、より厳密に適格患者を選ぶ必要はあるかもしれないが、手術の行えない高齢の肺癌患者に対する治療法として、ラジオ波焼灼療法は安全で効果の期待できる方法と考えられた」とまとめた。