脳転移したHER2陽性乳癌で、ラパチニブが脳の腫瘍を縮小させ、忍容性も高いことが、国際共同臨床試験「EGF105084」に参加した日本人のデータから明らかになった。10月30日から11月1日に名古屋市で開催された第46回日本癌治療学会総会で、癌研究会有明病院化学療法科の伊藤良則氏らが発表した。

 EGF105084試験は、脳転移のあるHER2陽性乳癌患者を対象としたフェーズ2臨床試験。トラスツズマブを含む治療と、脳転移に対する放射線療法の経験があり、脳の腫瘍径が10mm以上の患者に、ラパチニブ750mgを1日に2回投与した。2005年12月から2007年1月までに242人が登録され、このうち日本人は6人だった。

 解析が可能だった237人において、脳の腫瘍が50%以上縮小したのは19人(8%)、20%以上の縮小は50人(21%)に見られた。日本人6人では50%以上の縮小が1人、20%以上の縮小が2人に認められた。具体的には、8週目に縮小が認められたのは3人で、それぞれ85%、46%、15%の縮小だったが、別の3人では7〜54%の増加が見られた。

 また日本人における有害事象は、グレード2の下痢が4人、グレード1の皮疹が3人、グレード1の頭痛が1人で、試験全体の有害事象の発生傾向と同じだった。

 これらの結果から、脳転移のあるHER2陽性乳癌において、ラパチニブの単剤投与は穏やかではあるが、効果は認められ、忍容性も高いとしている。

 また、この試験では、ラパチニブの単剤投与で進行した患者の場合、ラパチニブを1日に1250mg、カペシタビンを2000mg/m2を投与する拡大試験に移行する。52人がラパチニブとカペシタビンの併用療法を受け、腫瘍の縮小が確認されているが、日本人は拡大試験には参加していないという。