ビスホスフォネート製剤ゾレドロン酸が、腎癌骨転移による骨折や高カルシウム血症などの骨関連事象を抑制し、一部の患者では骨形成も認められたことが明らかになった。10月30日から11月1日に名古屋市で開催された第46回日本癌治療学会総会で、北海道大学大学院腎泌尿器外科の佐澤陽氏らが発表した。

 腎癌において骨転移は20〜25%に発生し、主に溶骨性変化を示すとされる。骨転移は、骨折や脊髄圧迫、高カルシウム血症を引き起こし、放射線治療や外科治療が必要となる場合もある。

 佐澤氏らは、まず骨関連事象(骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症、放射線治療、外科治療:SRE)の実態を知るため、腎癌骨転移31人を対象にレトロスペクティブに分析を行った。

 患者の年齢中央値は64歳(42〜87歳)、31人のうち女性が10人で、骨転移のみの患者が10人、骨および他臓器の転移が見られた患者が21人だった。

 観察期間は中央値5カ月(2〜56カ月)で、ゾレドロン酸が投与されていない患者では、骨転移が診断されてから経過観察の最終日まで、投与された患者では骨転移診断からゾレドロン酸投与までの期間で分析した。その結果、SREを経験したのは、31人のうち28人(90.3%)に上った。

 放射線治療が最も多く、続いて、病的骨折、外科治療、脊髄圧迫、高カルシウム血症の順で多かった。また1年あたりのSRE発生数は平均4.2回で、骨転移診断からSREが発生するまでの期間は0〜49カ月(中央値は1カ月)だった。

 次に、ゾレドロン酸が投与されていた12人に限ってみると、観察期間中央値6.5カ月(2〜25カ月)で、SREを経験したのは2人(16.7%)、放射線治療と外科治療が1人ずつだった。1年あたりSRE発生数は0.2回と、ゾレドロン酸が投与された患者ではSREが少ないことが示された。

 また一部の患者では、骨形成も認められ、骨代謝マーカーも、骨形成を反映するB-ALP(骨型アルカリフォスファターゼ)が投与後6カ月には上昇しており、骨吸収を反映する NTx (儀織灰蕁璽殴鷁誘 N-テロペプチド) には大きな変化はなかった。ゾレドロン酸は溶骨性病変を抑制する作用があることから、「ゾレドロン酸は腎癌骨転移に対する直接的な効果も期待できる」としている。