転移性大腸癌を対象に、5種類のペプチドを使ったワクチンのフェーズ1臨床試験で、安全性が確認され、12人中5人で臨床効果も見られたことが明らかになった。10月28日から30日に名古屋市で開催された第67回日本癌学会学術総会で、山口大学大学院消化器・腫瘍外科学の硲彰一氏らが発表した。

 この試験では、日本人の約60%が持つ白血球型抗原HLA-A*2402に対するペプチドのうち、大腸癌で高発現している3種類のペプチド(RNF43、TOMM34、KOC1)と、腫瘍新生血管内皮細胞で高発現している2種類のペプチド (VEGFR1、VEGFR2)を使った。

 このペプチドを選択したのは、腫瘍細胞特異的ペプチドと腫瘍新生血管特異的ペプチドといった標的の異なるペプチドを併用することで、高い抗腫瘍効果が期待できるためだ。

 対象は、転移性大腸癌で、イリノテカンやオキサリプラチン、5-FUなどの化学療法で効果が得られなかったA24抗原陽性の患者13人。このうち3人には週に1回、ペプチドワクチンを0.5mgずつ、病状進行まで皮下投与した。別の3人には1mgを、7人には3mgを投与した。

 その結果、主要評価項目である安全性については、グレード1の発熱が2人に見られたが、重篤な副作用はなかった。副次評価項目である抗腫瘍効果は、評価のできた12人のうち、完全奏効が0.5mg群で1人に見られ、現在までに2年間の生存が確認されているという。また5カ月の病状安定が0.5mg群で1人、4〜7カ月の病状安定が3mg群で3人に認められた。

 腫瘍に対する免疫反応をペプチド別に見たところ、0.5mg群ではRNF43で1人、VEGFR1で1人に免疫反応が誘導されていた。1mg群ではRNF43、KOC1、VEGFR1、VEGFR2で各1人ずつ、TOMM34で2人に、3mg群ではRNF43で2人、TOMM34で4人、KOC1で5人、VEGFR1で4人、VEGFR2では3人に免疫反応が確認された。

 さらに生存率を解析した結果、免疫反応が2種類以上のペプチドで確認された患者のほうが、1種類以下の患者に比べて、生存率が高い傾向が見られた。またペプチド別では、VEGFR1において、免疫反応のあった人のほうが、反応のなかった人に比べて有意に生存率が高かった(p=0.0036)。

 これらの結果から、5種類のペプチドワクチンで「安全性および抗腫瘍効果が確認され、免疫反応が誘導された患者では予後が良好だった」とした。