前で無効、あるいは耐性となった症例を対象に行われたNCIC CTG CO.17試験では、BSC(best supportive care)単独群とセツキシマブ併用群で治療効果を比較、セツキシマブ併用群において有意なOSの改善がみられた。

 今年2007年のASCOで報告されたEPIC試験では、オキサリプラチン(L-OHP)ベースの治療で効果の得られなかった症例を対象に、セカンドラインとして、セツキシマブ/イリノテカン併用群648例とイリノテカン単独群650例の間で、一次エンドポイントとしてOS、二次エンドポイントとしてPFS、RR、安全性などが比較された。セツキシマブ/イリノテカン併用群では奏効率は16.4%、病勢コントロール率61.4%と、イリノテカン単独群4.2%、45.8%に比べ有意に高かった。PFSにおいても、併用群4カ月、単独群2.6カ月と有意差が認められた。ただし、OSでは試験終了後にイリノテカン単独群で多くの症例がセツキシマブの追加投与を受けており、結果として有意差は見られなかった。

図3 CRYSTAL試験の結果概要(画像をクリックすると拡大します)

 一方、同じくASCO2007で報告されたセツキシマブのファーストラインを検討したCRYSTAL試験では、EGFR(血管内皮増殖因子受容体)を発現している転移性大腸癌症例1217例を、セツキシマブ+FOLFIRI併用群とFOLFIRI群に無作為化割り付けし、一次エンドポイントとしてPFSを比較した。PFSは併用群8.9カ月、FOLFIRI群8.0カ月と有意差が認められ、さらに1年生存率は34%とFOLFIRI群の23%に比べて高かった(図3)。その他、奏効率は併用群47%、FOLFIRI群39%、切除率6%、2.5%、治癒切除率4.3%、1.5%と、奏効率及び治癒切除率で有意差が認められた。肝転移例に限定したサブグループ解析では、切除率は併用群9.8%、FOLFIRI群4.5%、PFSは14.4カ月、9.2カ月と両群間に有意差を認められた。

 これらの成績から、セツキシマブはファーストラインにおいて、FOLFIRI、FOLFOXの治療効果を改善することが示されたとともに、セカンドラインでは、イリノテカンとの併用でRR、PFSを改善、またサードラインでは、BSCに比べセツキシマブ単独で生存期間延長に寄与することが示された。

 また、肝転移例のR0および切除率に関しては、セツキシマブとFOLFIRIあるいはFOLFOX併用でR0率は2-3倍となることが示されている。このような研究成績から、分子標的薬のファーストライン治療での位置づけは、curative過程ではセツキシマブ、palliative過程の進行抑制ではセツキシマブ、window of opportunityにはベバシズマブ、セツキシマブの選択が妥当であると思われる。

転移性大腸癌における治療オプション

図4 転移性大腸癌における治療戦略(画像をクリックすると拡大します)

 最後に、Koehne氏は、転移性大腸癌における治療戦略をまとめて示した(図4)。セツキシマブはCRYSTAL試験で示されたように、ファーストラインにおいてはFOLFIRI+ベバシズマブあるいはFOLFOXに併用することが可能な薬剤であることを示した。

 ベバシズマブとセツキシマブは転移性大腸癌の治療において、新しい分野を切り開いた。最も重要なことは、特にセツキシマブが二次性肝切除の治療成績を改善することである。今後の課題として、化学療法だけではなく分子標的薬治療も含めたベストな治療法、良好な結果を得るための治療期間、効果をより高めるための補助療法などの検討が挙げられるとKoehne氏は締めくくった。