■ベバシズマブ

 VEGFに対する抗体であるベバシズマブは、2003年に、有転移症例を対象としたフェーズII臨床試験の結果が発表されている(New Eng. J. Med., 2003:369;427)。ベバシズマブ投与群の無増悪生存期間中央値は4.8カ月で、プラセボ群が2.5カ月と有意差はあるものの、あまりインパクトが高くなかったという。しかし、今年2007年のASCOでは、IFN-α単独群とIFN-α+ベバシズマブ群を比較した試験(Avoren試験)の結果が報告された。IFN-α単独群の奏効率は13%であったのに対し、ベバシズマブ併用群は31%。SD持続期間の中央値も10カ月(IFN-α単独群7カ月)と有望な結果が得られており、今後の検討が注目される。

■ソラフェニブ

 マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブでは、ソラフェニブとプラセボを比較したTARGET試験が全身療法既治療患者を対象にセカンドライン治療として実施されており、2005年のECCO13では、無増悪生存期間(PFS)中央値が、プラセボ群2.8カ月に対し、ソラフェニブ群は5.5カ月という結果が得られたとした。腫瘍の縮小のほか、原発巣も縮小するのが特徴だ。

 しかし、今年2007年のASCOでは、ファーストライン治療としてソラフェニブとIFN-αを比較した試験の結果が発表され、PFS中央値がIFN-α群が5.8カ月であるのに対し、ソラフェニブ群は5.7カ月(ハザード比0.88 95%Cl 0.61-1.27 p=0.504)とほとんど同じという結果で、ファーストライン治療ではPFSをエンドポイントとしては完全な優位性はいえないのではないかというものだった。ただし、この試験で、IFN-α投与群でPDになってしまった患者をソラフェニブに変えた場合、CRが2%、PRが20%、SDが54%となり、また投与量を400mgから600mgに変えた場合、SDが46%で見られるなどの効果が確認され、まだまだ検討の余地がある。

■スニチニブ

 マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるスニチニブでは、まずサイトカインが無効になった転移性腎細胞癌患者にスニチニブを投与したフェーズII臨床試験で、RECIST基準によって評価した結果、PR以上の奏効率を示した患者が約4割、SDが3カ月以上続いた患者が約3割だった。つまり、インターフェロンやインターロイキンなどを使って抵抗性を示すようになってしまった患者の約7割でメリットが得られるようになると考えられる。CTによる撮影結果でも、原発巣や肺転移した腫瘍の縮小が確認されている。

図2 スニチニブ投与群とIFN-α投与群の無増悪生存期間の結果(画像をクリックすると拡大します)

 次に、ASCO2006で発表されたファーストライン治療でスニチニブとIFN-αを比較した試験を紹介(Abstract No.LBA3)。細胞組織像が明瞭で、前進治療を受けていない、ECOGのPSが0か1の患者750人をスニチニブ群とIFN-α群に分けて比較したところ、IFN-α群のPFS中央値が5.1カ月であったのに対し、スニチニブ群は11カ月(ハザード比0.538 95%Cl 0.439-0.658 p<0.000001)という結果が得られた(図2)。腫瘍退縮についても、IFN-α群6%に比べてスニチニブ群は31%と、転移性RCC治療において有望な結果となった(Motzer. NEJM 2007:356;115)。ただ、冨田氏は、ASCO2007で発表された最新の結果では、Investigatorの評価ではCRがスニチニブで5例、インターフェロンαで4例であるのに対し、Independent Central Reviewでは両方とも0になった点を指摘し、さらに検討が必要といえそうだ。

 そして、最後に冨田氏自身が診療にあたった60歳男性の例を紹介。呼吸困難で診察にきた患者で、2005年末に根治的腎摘出。pT2N2M1で、淡明細胞癌、G2優性、で、IL-2治療に入ったが、進行してしまった症例だ。この患者にスニチニブを投与したところ、現在、13サイクル目に入り、SDになっているという結果を明らかにした。

■テムシロリムス

 最後に紹介したのは、mTOR阻害薬であるテムシロリムス。高リスク患者群に限ったファーストライン治療でテムシロリムス単独群、IFN-α+テムシロリムス群、IFN-α単独群を比較したフェーズIII臨床試験では、テムシロリムス単独のOSは10.9か月という結果が得られている。IFN-α単独群で7.3か月だが、併用群は8.4カ月と下がってしまい、テムシロリムス単独投与が有効であるという結果だ(Hudes et al. NEJM 2007:356;2271)。