大阪医科大学附属病院化学療法センター長の瀧内比呂也氏

 胃癌大腸癌の化学療法は、最近になって大きな進歩がみられた領域だ。第45回日本癌治療学会総会2日目の10月25日、「消化器がんの治療戦略―新たなエビデンスの解釈と展望―」と題したブリストル・マイヤーズ株式会社との共催のランチョンセミナーで、大阪医科大学附属病院化学療法センター長の瀧内比呂也氏は、この二つの領域に絞って、最新の海外での臨床試験結果を概説した。

 瀧内氏はまず、胃癌の現在の化学療法に関して、2007年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されたJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)9912試験とSPIRITS試験という、ともに日本で行われたフェーズIII臨床試験の結果を紹介。これらによって、進行再発胃癌に対し、S-1(5-FUのプロドラッグのテガフールと5-FU分解阻害剤のギメラシル、消化器毒性の軽減作用を持つオテラシルカリウムの配合剤)+CDDP(シスプラチン)が、最初に選択すべき治療法(ファーストライン)として確立されたと結論付けた。

図1 胃癌治療戦略の概要(画像をクリックすると拡大します)

 ただ、同氏は続けて「この治療が可能なのは、経口摂取が可能で、かつCDDPの投与量を上乗せできる患者に限られる」と指摘。治療が行いにくい患者の例として、(1)高齢者(2)経口摂取が困難(3)全身状態が不良(4)腎機能が低下(5)高度な腹膜播種――を挙げた。そして、こうした患者への対応策として図1の治療法を示し、病態に応じて適宜、S-1単剤やMTX(メトトレキサート)+5-FU、PTX(パクリタキセル)などを考慮すべきとした。