図2(上) 術前療法としてのアナストロゾールとタモキシフェンの効果を比較したIMPACT試験の結果 図3(下) 術後ホルモン療法の大規模試験BIG1-98、ATAC試験の結果

 一方、術前療法としてのアナストロゾールとタモキシフェンの効果を比較した臨床試験(IMPACT)も存在する。IMPACTでは、アナストロゾール群とタモキシフェン群で、治療開始前に乳房切除術が必要と判断されていた患者の乳房温存率に有意差は見られていなかった(図2)。

 術後ホルモン療法の大規模試験BIG1-98、ATACの結果は、これら術前ホルモン療法の結果と相関しているとEllis氏。すなわち、レトロゾールとタモキシフェンの術後療法としての効果を比較したBIG1-98では、レトロゾールの効果はタモキシフェンに比較してより高く、2年目までの早期の再発、遠隔再発ともに3割の改善効果を示した(図3)。

 その一方で、術後療法としてのアナストロゾールとタモキシフェンの効果を比較したATACでは、アナストロゾール群では、再発の抑制効果は見られたものの、その効果はそれほど高くなかった(2.5年目までの再発で17%の改善、遠隔再発で7%の改善)。

 Ellis氏は、これらの結果から、術前ホルモン療法の結果は、術後ホルモン療法の結果を予測しうるものだという。そのため、術後ホルモン療法に関する臨床試験の計画は、術前ホルモン療法で有効性が示された薬剤のみで行うべきと語っていた。

どのAI剤の効果が一番高いのか?

 現在、AI剤としては3剤が市場に存在している。これらのAI剤のなかでどのAI剤の効果が一番高いのだろうか?

 Ellis氏の理論からすると、3つのAI剤を術前補助療法として投与し、その効果を比較すれば、術後補助療法として、どのAI剤が最も効果的であるかの示唆を得ることができるだろう。

 実は、そのための臨床試験が現在進行中だという。閉経後ホルモン感受性早期乳癌を対象とした多施設共同臨床試験(A Z1031 http://www.ctsu.org/)だ。術前に、アナストロゾールを投与する群、レトロゾールを投与する群、エキセメスタンを投与する群の3群に分け、長期予後が観察されている。この臨床試験で、有意な差が生じれば、最も有効なAI剤を知る手がかりになると期待される。

 最後に現時点での閉経後ホルモン感受性早期乳癌に対する治療戦略についてEllis氏は、「再発リスクが高いと思われるStage彊幣紊砲蓮遠隔再発抑制を目的にレトロゾールによるイニシャルアジュバント治療を行っている。一方、Stage気覆漂独の可能性が低いと考えれれる患者には、忍容性を考慮し、まずタモキシフェンで2〜3年治療し、その後AIを投与するのが良いと考えている」とコメントした。