治療効果の高いレジメンを模索

 さらに最良のレジメンを求め、分子標的薬とIFN-αの併用や、分子標的薬の段階的な用量増加(dose escalation)、分子標的薬同士の併用なども検討されている。海外のフェーズII臨床試験では、転移性腎細胞癌に対し、ソラフェニブとIFN-αの併用で、奏効率が33%、奏効期間は12カ月になることが報告され (J Clin Oncol. 2007 Aug 1 ; 25(22): 3296-3301)、ソラフェニブの段階的増量では奏効率55%と高い抗腫瘍効果も確認されている(Amato RJ et al. ASCO 2007;Abstract 5026)。

 また術後補助療法として、ソラフェニブとスニチニブ、プラセボを比較するフェーズIII臨床試験であるASSURE (Adjuvant Sorafenib or Sunitinib in Unfavorable Renal Cell Carcinoma)試験(ECOG2805 )が米国とカナダで1332人を対象に2006年5月から始められた。欧州ではソラフェニブ1年投与と3年投与、そしてプラセボを比較するSORCE試験が2007年6月に開始。ソラフェニブによる術前化学療法の臨床試験も進められている。

IFN-αによる個別化医療も検討

 その一方で、内藤氏は使い慣れたIFN-α治療の見直しを提案する。「IFN-αを投与する前にその効果を予測することができれば、個別化医療として今後も十分に価値があるのではないか」。すでに京都大学医学部泌尿器科教授の小川修氏を中心とする研究グループとともに、IFN-αの治療効果と遺伝子多型を解析し、癌関連遺伝子の1つであるSTAT3が予測マーカーとなる可能性を見出している(J Clin Oncol. 2007 Jul 1;25(19):2785-2791)。この結果を検証するため、「RCC-SELECT(RCC-SNPs Ensuring-study for Leading Eligibility of patients in Cytokine Therapy」と名づけた試験を開始した。

 さらに泌尿器科の立場から、転移を伴う進行腎細胞癌では腎摘出術が最も有力な治療ツールであるとし、分子標的薬の使用が拡大する中で、腎摘出術の役割を再検討する必要があるだろうと述べた。そして、「分子標的薬の登場により、腎癌をめぐる治療の体系は大きく変わりつつある。薬物療法の果たす役割は今後ますます増大すると思われ、泌尿器科医と腫瘍内科医の連携が重要になる」とし、講演を終えた。