国内フェーズII試験でクリニカルベネフィットが86.8%

図1(上) 国内の転移性腎細胞癌症例を対象としたフェーズII試験とTARGET試験の結果の比較 図2(下) 国内フェーズII臨床試験における腫瘍縮小率(画像をクリックすると拡大します)

 国内では、固形癌患者を対象としたフェーズI臨床試験において、31人中2人(6%)で部分奏効(PR)が、14人(45%)で安定(SD)が確認された。フェーズII臨床試験では、転移性腎細胞癌患者131人に対し、ソラフェニブ400mg分2/日が投与され、その結果、主要エンドポイントである奏効率(RECIST基準)は14.7%と、TARGET試験に比べて若干良い結果となった(図1)。クリニカルベネフィット(CR+PR+SD)は86.8%であり、103人(80.5%)で腫瘍増殖抑制効果が認められた(図2)。

 薬剤関連の有害事象としては手足皮膚反応やリパーゼなどの膵酵素の上昇等が見られたが、管理可能な範囲と判断された。内藤氏は部分奏効の見られた代表的な症例を紹介。胸壁に腫瘍が認められるが、治療12週後には縮小している事例があることを明らかにした。

未知の副作用に危惧

 ソラフェニブは腎細胞癌の治療薬として有望ではあるものの、これまでの癌化学療法では見られないような副作用が起こる可能性も否めない。内藤氏は「分子標的薬による治療を安全で有用な治療として確立するために」、そして「イレッサの二の舞を踏まないために」、留意すべきポイントとして二つ提示した。すなわち、‘睇薬であるため、十分な知識がないまま安易に使用される危険性、そして△海譴泙任坊亳海里覆ど作用が生じる可能性、である。

 副作用に関しては、海外とは発生頻度が異なる、海外と同じ投与量では日本人には過剰投与となる、あるいは効果と副作用の発現に人種差があるなどの可能性があること、さらに長期投与時の安全性がまだ十分明らかでないことについて、危惧の念を示した。実際に有害事象の発生率を海外のデータと比較してみると、グレード3以上の手足皮膚反応は海外では4%であるのに対し、国内では9%、高血圧の発症も海外が4%に対し、国内は12%と高くなっている。そのため内藤氏は「海外のデータだけでは十分でなく、わが国において一定期間は全例調査による副作用データの集積や情報の提供が望ましい」と述べた。