図4 DOPS研究における骨折リスクの推移。骨密度を中心に考えた骨折リスクよりも高い割合で骨折を生じる危険因子は年齢、性別、脆弱骨折既往歴、家族歴など(画像をクリックすると拡大します)

 この研究は、10年間でどれぐらいの頻度で骨折するのかを調べることで行なわれているが、まだ最終結果はでていない。しかし、種々の途中経過のデータが各国で色々と発表されており、いくつかの危険因子が示されるようになってきた。

 年齢、女性に加え、脆弱骨折の既往歴、家族歴などが今のところ挙げられている。さらに全身のステロイド投与も危険因子となりうる。例えばグルココルチコイドの投与を若年期に行なうと、骨組織のプログラミングが糖質コルチコイドにより大きく変わることが基礎研究で知られている。統計的にも、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチや腎炎で、コルチゾールの全身投与を受けた患者は、有意に病的骨折が増すことがカナダのデータで明らかになっている。これらの危険因子があると、骨密度を中心に考えた骨折のリスクよりも高い割合で骨折が生じていたことがデンマークでの約10年間の追跡データから明らかになっている(図4)。

 現在では心筋梗塞に関する低密度リポ蛋白(LDL)、血圧、あるいはヘモグロビンA1cのように、骨折の危険因子を明確に規範して危険因子の数で高リスク群、中間リスク、低リスクと分けて治療の方法を決めようという動きがあるが、日本人に関してはまだ正確なアルゴリズムはこれからではないかと考えられる。

 しかし本邦でも科学的な客観性のある骨折リスクのマーカーの検討は行なわれており、そのうちの1つに、九州大学のグループによって見出されている骨のコラーゲンの架橋形成を阻害する蛋白質であるホモシステインがあげられる。このホモシステインの血中濃度が増加すると、骨密度と関係なく脆弱骨折の頻度が増えることが報告されており今後大きな注目を集めていくのではないかと考えられる。

 これらの知見を基に、骨粗鬆症の患者の骨折予防の薬として、骨形成に働く薬剤が求められている。米国では副甲状腺ホルモン(PTH)の部分ペプチドが使われ始め、完全長のPTHも最近米国で承認されている。副甲状腺ホルモンは、低用量・間欠で投与すると骨芽細胞を刺激して骨形成を促進させる。日本でもPTHが臨床試験まで進んでおり、近い将来には使えるようになる可能性もある。