ベバシズマブが持つ4つの特徴

 Lenz氏は、

(1)転移性大腸癌患者のファーストライン治療として、ベバシズマブと化学療法の併用は、非常に高い効果を発揮する。
   −奏効が認められなかった患者でもサバイバルベネフィットがある。
   −IFLとの併用において、奏効率・奏効期間が改善した。
   −ネオアジュバント療法として安全に使用することが可能で、治癒切除率も高まる。
(2)ベバシズマブは、転移性大腸癌患者におけるセカンドライン治療としてFOLFOXの有効性を高める。
(3)ベバシズマブを含む治療で増悪後も、セカンドライン治療としてベバシズマブ投与を継続することは、サバイバルベネフィットをもたらす可能性がある。
(4)ベバシズマブ投与に関する有害事象はコントロール可能である。

 と、ベバシズマブの特徴をまとめた。

 兵頭氏は、「海外の多数の臨床試験によって転移性大腸癌に有用性が証明された抗血管新生薬ベバシズマブが2007年6月に我が国でも使用可能になった。2007年10月現在、本邦での経験が少ない中、全国で2600例が登録され慎重に投与されている。今回、時機を得たLentz氏の明快な講演によって多くの癌治療医にベバシズマブ治療に必須の知識が伝えられたことは意義深い」と指摘。

 その上で、兵頭氏は、「『ベバシズマブは殺細胞薬の毒性を基本的に増すことはないので、FOLFOXとFOLFIRIに併用する際の患者選択はオキサリプラチンとイリノテカンが不適切な患者を避けることが重要であり、ベバシズマブに特徴的な毒性は両者で同様に出現し、その対応法を熟知しておけば良い』というのが講演の主旨であったと思う。また高血圧、動脈血栓症、消化管穿孔、出血、蛋白尿などの有害事象の詳細と対処法の説明では、実践的なTipsがちりばめられ大変参考となった。今後の実地医療において、ベバシズマブは多くの患者の初回治療にFOLFOXあるいはFOLFIRIと併用して使用されることになる。現在までに世界中でFOLFIRI+ベバシズマブとFOLFOX+ベバシズマブを直接比較した試験はないが、WJOG(西日本がん研究機構)では、FOLFOX+ベバシズマブに対するFOLFIRI+ベバシズマブのPFSにおける非劣性を検証するフェーズIII臨床試験を準備中で、多くの施設に参加をお願いしているところだ。この試験を達成することによって世界標準治療が本邦においても確実に実施され、海外と同等の結果をもたらすことを証明できるものと確信している。また、この試験の患者登録開始後には抗EGFR抗体であるセツキシマブが承認されるものと思われる。我々には二次治療におけるセツキシマブの使用法やbeyond PDのベバシズマブ継続使用の有効性など、検討しなければならない多くの問題が残されている」と締めくくった。