■進行してしまっても、ベバシズマブ投与を続けるべきか。

 大規模観察研究であるBRiTE試験において、ベバシズマブと化学療法を併用していても、癌の増悪が認められた患者1953人を対象に、ベバシズマブ治療を継続することの有用性に関する検討が行われた。

図5 進行後、化学療法にベバシズマブを併用した場合の効果(画像をクリックと拡大します)

 この1953人のうち、進行後にさらにベバシズマブ投与を続け、化学療法かEGFR阻害薬を併用した場合の全生存期間の中央値は31.8カ月、ベバシズマブを投与せず、化学療法かEGFR阻害薬を投与した群の全生存期間の中央値が19.9カ月。ベバシズマブ投与を継続すると予後が良好であることが示された(図5 Grothey et al. ASCO2007)。

 現在、ベバシズマブと化学療法を受けたが癌の増悪が認められた転移性大腸癌患者を対象に、FOLFIRI療法またはイリノテカンに、セツキシマブとベバシズマブを上乗せした効果を評価するS0600/iBET試験も進んでおり、進行後のベバシズマブの継続が予後にどう関わっていくか、詳細に明らかにされることが期待されている。


■ベバシズマブの有害事象について。

 安全性については、ベバシズマブの臨床試験において最もよく見られた有害事象は高血圧で、重大な有害事象は、消化管穿孔、創傷治癒遅延、出血、血栓塞栓症、高血圧性クリーゼ、ネフローゼ症候群、うっ血性心不全だった。

 転移性大腸癌、転移性乳癌、非小細胞肺癌の臨床試験を統合解析した結果、脳血管障害や心筋梗塞などの動脈系イベントの発生率は、化学療法のみの群で1.7%であったのに対し、ベバシズマブを併用した群は3.8%。多変量解析の結果、動脈血栓塞栓症既往歴と65歳以上の2点がリスクファクターであると指摘した(Skillings et al. ASCO2005)。

 これまでの臨床試験で確認されている消化管穿孔の発生率については、転移性乳癌や非小細胞肺癌など非腹部の癌の場合、発生率は1%以下。腹部内の癌の場合は発生率は高いが、AVF2107試験など転移性大腸癌を対象とした臨床試験では2%だった。一方、ベバシズマブの投与量が多い卵巣癌を対象としたAVF2949試験では発生率が11%と高率だった。

 Lenz氏は、有害事象で最も頻度が高い高血圧の管理について、Ca拮抗薬やACE阻害薬を利用していると明かした。ベバシズマブの作用機序から、血管の緊張が高血圧の要因で、βブロッカーや利尿薬では効果が十分ではないからだ。米国では、すでに降圧薬を3剤併用している患者も多く、血圧管理に難しさがあるが、日本では高度な肥満が少なく、血圧管理は容易だろうとした。その上で、Lenz氏は、「収縮期血圧160mmHgや拡張期血圧100mmHgまで上がってしまうのを待ってから降圧治療を行うのではなく、予防的に薬剤を投与すべきだ」と指摘した。