血管新生阻害による抗癌作用が初めて臨床試験で確認

 次に、こういった機序を持つベバシズマブの臨床試験の結果が紹介された。

■イリノテカンベースの化学療法(IFL)にベバシズマブを併用するファーストライン治療はPFSやOSを延長させるか。

図1 IFLレジメンにベバシズマブを併用した場合のPFSの推移(画像をクリックすると拡大します)

 転移性大腸癌に対して、初めて、抗血管新生療法が無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を延長させることを示したのがAVF2107g試験。急速静注5-FU、ロイコボリン(LV)、イリノテカンを組み合わせるIFLレジメンにベバシズマブ併用の効果を評価するもので、ファーストライン治療として実施。IFL投与群のPFS中央値が6.2カ月であったのに対し、ベバシズマブ併用群は10.6カ月(ハザード比=0.54、p<0.001)と、転移性大腸癌でPFSが10カ月を超えた初めての臨床試験だった(図1)(Hurwiz et al. N Engl J Med 2004;350:2335)。

 全生存期間についても、IFL群が中央値15.6カ月に対し、ベバシズマブ併用群が20.3カ月という結果が得られている。奏効率も35%から45%に増加した。また、あまりこれまで言及されていなかったが、奏効期間も10カ月以上あったことや、化学療法に反応しなかった患者でも無増悪生存期間や全生存期間が改善したことは非常に注目すべき結果だとLenz氏は語った。

 なお、このAVF2107g試験では、当初、5-FU、LVにベバシズマブを併用する群が設けられ、IFL±ベバシズマブの3群で比較されていたが、ベバシズマブ+IFL投与群で安全性が確認されたため、急速静注5-FU、LVにベバシズマブを併用する群の登録は中止され、最初の解析には加えられなかった。後の、この群を加えた解析では、生存期間中央値は、プラセボ群(IFLのみ)で15.1カ月、ベバシズマブ+IFL群で20.5カ月に比べ、ベバシズマブ+5-FU/LV群は18.3カ月とベバシズマブ+IFL群と同様、生存期間が延長していた(Hurwiz et al. J Clin Oncol 2005;23:3502)。Lenz氏は、「アグレッシブな化学療法、つまりオキサリプラチンやイリノテカンが使えない場合でもベバシズマブを併用することで生存期間延長が得られる」と指摘した。

図2 XOLOX療法およびFOLFOX4療法にベバシズマブを併用した場合のPFSの推移(画像をクリックすると拡大します)

 カペシタビンとオキサリプラチンを組み合わせるXELOX療法とオキサリプラチン、LV、急速・持続静注5-FUを使うFOLFOX4療法にそれぞれベバシズマブを併用し効果を評価するNO16966試験でも、有害事象による治療中断例が多かったために、全患者を対象とした解析ではPFS中間値の延長効果が薄れたが、治療継続群のPFS中間値はプラセボ群8.4カ月に対し、10.6カ月だったと指摘(図2)。さらにFOLFOX施行後に完全休薬期間を設ける妥当性について検討したOPTIMOX2試験で、維持療法をせずに休薬した群はPFSが短縮したことを言及しながら、「ベバシズマブの有効性を生かすには、癌の増悪が見られるまではベバシズマブを含む維持療法を実施すべきだ」(Lenz氏)とした。