図3 S-1に関連する臨床試験の奏効率や生存率の概要(画像をクリックすると拡大します)

 ところが単独群と併用群では患者背景に若干の違いがあった。組織学的に単独群ではdiffuse型(びまん性)が89人であるのに対し、併用群では103人と多かった。腹膜転移もそれぞれ36人、51人と、「併用群に予後不良なファクターが多く入ってしまった」(小泉氏)という。にもかかわらず、S-1とシスプラチンの併用群のほうが良好な結果となり、他の試験結果と比較しても、S-1の有用性は明らかであるといえるだろう(図3)。小泉氏は「現時点において、S-1とシスプラチンの併用は、国内では標準的な治療の1つと見なしてよいだろう」と述べた。

 米国人においてもS-1を用いたフェーズII臨床試験で、S-1投与量が日本の40mg/m2に比べて少ない25 mg/m2など違いはあるものの、奏効率は55%、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6カ月、生存期間中央値は10.4カ月との成績が得られている。この結果より5-FUとシスプラチンの併用とS-1とシスプラチンの併用を比較する国際的フェーズIII臨床試験であるFLAGS試験が開始された。この試験でS-1の有用性が証明されれば、世界的にも標準治療として認められることになる。果たしてどのような結果になるのか、結果の公表が待たれる。

 座長を務めた九州大学消化器・総合外科学教授の前原喜彦氏は、「大腸癌の領域は海外の研究グループに先を越されているが、胃癌領域こそは、わが国がエビデンスを発信しリードしていく状況だと思う」とし、日本の胃癌研究への期待を示して、セミナーを締めくくった。