●新旧薬剤の比較−カペシタビン対5-FU、オキサリプラチン対シスプラチン

 従来、CF療法(シスプラチン+5-FU)がよく用いられてきたが、静注剤の5-FUに替わるフルオロウラシル系薬剤としてカペシタビンの有効性が期待されている。カペシタビンは5-FUのプロドラッグで、日本で開発された経口剤。また消化器毒性の強いシスプラチンに代わって、同じくプラチナ製剤であるオキサリプラチンも注目されている。小泉氏は、昨年2006年のASCOの発表の中から、カペシタビンと5-FU、オキサリプラチンとシスプラチンを比較した3つの試験を紹介した。

■カペシタビンと5-FU
 XP療法(カペシタビン+シスプラチン)とFP療法(5-FU+シスプラチン)を検討したフェーズIII臨床試験であるML17032試験では、主要エンドポイントである無増悪生存期間は、XP療法群が5.6カ月、FP療法群が5.0カ月でほぼ同等であり(ハザード比 0.80、p=0.08)、カペシタビンの5-FUに対する非劣性が証明された。

■シスプラチンとオキサリプラチン
 FLO療法(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)いわゆるmFOLFOXと、FLP療法(5-FU+ロイコボリン+シスプラチン)を比較したフェーズIII臨床試験において、主要エンドポイントとした無増悪期間がFLO療法では5.7カ月、FLP療法が3.8カ月(ハザード比 0.80、p=0.081)となり、オキサリプラチンの優越性を示すことはできなかった。また悪心や嘔吐、倦怠感の発生頻度はオキサリプラチンで低いが、感覚障害は重篤ではないもののオキサリプラチンで高率に見られる結果となっている。

■カペシタビンと5-FU、オキサリプラチンとシスプラチン
 以下のように2×2デザインで比較した「REAL 2試験」において、生存期間中央値は、5-FUを用いた群が9.6カ月、カペシタビンは10.9カ月とほぼ同等であり(ハザード比 0.86)、またシスプラチンを用いた群は10.0カ月、オキサリプラチン群は10.4カ月と、こちらも同程度となった(ハザード比=0.92) 。そのためカペシタビンは静注剤5-FUと、オキサリプラチンはシスプラチンと置き換えることができると結論づけられた。
・ECF療法(エピルビシン+シスプラチン+5-FU)
・ECX療法(エピルビシン+シスプラチン+カペシタビン)
・EOF療法(エピルビシン+オキサリプラチン+5-FU)
・EOX療法(エピルビシン+オキサリプラチ+カペシタビン)

 ASCO の口頭演題セッションでは例年、複数の関連演題が発表された後、コメンテーターがそれらに対する批評を述べる。これは、それぞれの研究成果の位置づけを明確にするとともに、「海外における反応を見るのに役立つ」(小泉氏)ものだ。昨年の「Gastrointestinal (Noncolorectal) Cancer」の発表(Abstract LBA4016、LBA4017、LBA4018)では、Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのDavid Kelsen氏がコメントした。それによると、非劣性を示す新規レジメンとは、標準治療に対して有効性が25%を下回らないことが原則であり、それに加え、毒性が低い、費用が安い、投与しやすいといった利点が求められる。カペシタビンとオキサリプラチンに関し、毒性はそれぞれ5-FU、シスプラチンに類似した結果であり、費用がCF療法(シスプラチン+5-FU)に比べ、FOLFOX療法は8倍、オキサリプラチン+カペシタビンは13倍にもなってしまうという。Kelsen氏は、これでは非劣性を示すレジメンとはいえないとの立場から、「もっとアクティブな薬が必要である」と述べた。