北里大学消化器内科/北里大学東病院消化器内科准教授の小泉和三郎氏

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)で毎年報告される新たな臨床試験の結果は、日本を含め世界各国の医療現場に多大な影響を与える。長期生存率の低い切除不能・進行再発胃癌に対する化学療法についても同様で、新しいレジメンの検討が進められ、ASCOでも議論されているが、いまだ決め手がないのが実情だ。

 北里大学消化器内科/北里大学東病院消化器内科准教授の小泉和三郎氏は、第45回日本癌治療学会総会のランチョンセミナー「進行再発胃癌化学療法−標準的治療は確立されたか? Gastric Cancer ASCO 2006-2007」(共催:大鵬薬品工業)で講演し、胃癌に関する多くの研究の中から、今年ASCOで発表されたS-1に関する日本の2つの試験をはじめとする最新の研究成果を紹介。進行再発胃癌に対する標準的治療とは何か、その現状を解説した。

ドセタキセルの併用は毒性に課題が残る

 進行胃癌に対する化学療法は、5-FUをキードラッグとして、CF療法(シスプラチン+5-FU)やIF療法(イリノテカン+5-FU+ロイコボリン)、ECF療法(エピルビシン+5-FU+ロイコボリン)、TCF療法(ドセタキセル+シスプラチン+5-FU)などのレジメンが検討されている。しかしフェーズIII臨床試験における奏効率や無増悪期間、生存期間を比較しても、「飛びぬけたものがなく、混沌としている」と小泉氏は現状を評価する。

 TCF療法は、CF療法(シスプラチン+5-FU)と比較したTAX325試験において、死亡リスクが22.7%低下することが確認され(Van Cutsem E et al. J Clin Oncol 2006; 24:4991-4997)、その結果をもって、2006年、米国食品医薬品局(FDA)は進行胃癌の治療薬としてドセタキセルを認可した。現在、米国ではTCF療法が治療選択肢の1つと位置づけられている。しかしグレード3以上の好中球減少に伴う発熱や感染が30%と高率に発現。このためTCF療法は有効ではあるが、毒性も強いとの認識から、今年2007年のASCOではそれを改良するレジメン、例えばドセタキセルの毎週投与(ATTAX)や、ドセタキセルとオキサリプラチンの併用(ESGAS.1.2.001)、ドセタキセルとシスプラチン、5-FUにロイコボリンを追加(GASTRO-TAX-1)、さらにドセタキセルをmFOLFOXに追加(AIO)の結果が報告されるに至った。