これまで仮説1〜5に従って治療法選択についてまとめたが、目前の患者が、これら5つの仮説のどのメカニズムに沿うかは、どうやって調べたらいいのだろうか。

図1 ER活性をGFPスコアとして定量化する方法の概略(図をクリックすると拡大します)

 現在、林氏らは、患者由来癌組織におけるエストロゲン・シグナル経路を検査する方法を開発中だ。具体的には、患者由来の細胞に遺伝子を導入し、ER活性をGFPスコアとして定量化できる方法を検討中という(図1)。このER活性定量化システムが実用化し、既存のER/PgR発現の免疫染色と併用できるようになれば、より適切な治療法選択が可能になると期待される。

 また、ER活性定量化システムの実用化を待たずとも、今回の林氏による仮説を参考にすれば、ある程度、論理的な治療法選択が可能であろう。

 林氏によると、これまでに患者サンプルを得て行った研究では、「大半の患者で、AI剤が効かなくなった後もER活性は残っていた」という。すなわち、AI剤抵抗性の乳癌に対しては、SERMの効果が大いに期待できそうなのだ。

 「乳癌の術後補助療法として、タモキシフェンとAI剤を比較した臨床試験において、AI剤が優るという結果が出たことから、AI剤抵抗性乳癌にSERMは効かないと思っている方がいるかもしれないが、それは誤解であり、AI剤抵抗性のメカニズムから考えても、SERMが効く可能性は十分ある」と林氏は強調した。