東北大学大学院医学系研究科教授の林慎一氏

 アロマターゼ阻害剤(AI剤)治療中又は治療後の再発をいかに治療していくか――。日本で汎用されているアナストロゾール(商品名「アリミデックス」)が実用化してから既に6年以上が経過し、現在、AI剤は、閉経後ホルモン感受性乳癌の第一選択薬として処方され、約10万人を超える患者がAI剤の投与を受けている。ただし、AI剤の恩恵を受ける患者の増加とともに新たな課題も浮かびあがってきた。それはAI剤治療中又は治療後の再発乳癌に対する治療戦略だ。

 AI剤治療後再発の乳癌に対する治療の選択肢としては、1)他のAI剤への変更、2)タモキシフェンやトレミフェンといった選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)への変更、3)抗癌剤への変更--の3択となる。臨床家が、この選択を行う上で参考とする情報は、AI剤耐性の発生時期や、過去にSERMや他のAI剤の治療歴があるかどうかなどだろう。SERMとは、エストロゲン受容体ER)へエストロゲンが結合することを阻害する薬剤の総称だ。

 10月24日〜26日に京都市で開催された日本癌治療学会総会のランチョンセミナー「アロマターゼ阻害剤耐性乳がんの治療戦略−基礎からのアプローチ”エストロゲンシグナル経路の変化”」(共催:アストラゼネカ)では、AI剤抵抗性乳癌の治療をいかに行うべきか、生物学的メカニズムを基に、基礎的視点からの治療法選択のヒントが示された。演者は、東北大学大学院医学系研究科教授の林慎一氏。