アロマターゼ阻害剤の1つであるエキセメスタンを術前投与することで、抗腫瘍効果が得られ、乳房温存率の向上が図れることが83人のエストロゲン受容体陽性閉経後乳癌患者を対象にした臨床試験の結果、明らかとなった。高齢者など術前化学療法を受けるのが困難なエストロゲン受容体陽性症例に、有望な治療法といえそうだ。成果は10月24日から26日に京都市で開催された日本癌治療学会で埼玉がんセンター乳腺外科の二宮淳氏が発表した。

 患者は術前に1日1回25mgのエキセメスタンの投与を受けた。患者の年齢の中央値は63歳(48-82)で、術前投与期間の中央値は133日(34-500)だった。ステージは1期が7例、2A期が49例、2B期が17例、3A期が4例、3B期が5例、3C期が1例で90%以上が2期以上だった。組織型は79例が浸潤性乳管癌だった。プロゲステロン受容体陽性患者は50例、陰性患者は32例、不明が1例だった。HER2は陽性が13例、陰性が68例不明が2例だった。

 エキセメスタンの術前投与の結果、臨床腫瘍効果は、CRが0例(0.0%)、PRが52例(62.7%)、SDが29例(34.9%)、PDが2例(2.4%)となり、臨床的抗腫瘍効果が認められたのは62.7%だった。一方、病理学的効果はグレード3が0例(0.0%)、グレード2が5例(6.0%)、グレード1bが24例(28.9%)、グレード1aが52例(62.7%)、グレード0が1例(1.2%)、不明が1例(1.2%)で、病理学的抗腫瘍効果は34.9%に認められた。

 抗腫瘍効果の予測因子(腫瘍側)として、HER2が陰性でプロゲストロン受容体が陽性の患者で効果が良いことが明らかとなった。ER2が陰性でプロゲストロン受容体が陽性の患者では、臨床腫瘍効果のCR+PRが35例、SD+PDが7例で統計学的に有意(p=0.0014)だったが、病理学的抗腫瘍効果を予測する因子は特定されなかった。

 乳房温存手術可能症例は術前投与によって増加した。4.0cmを基準とした温存可能率は治療前が67.1%だったのが、治療後は91.5%になった。3.0cmを基準とした温存可能率は治療前が27.7%だったのが、治療後は68.7%となった。

 手術を受けた後の経過を調べたところ、観察期間中央値が741日で術後補助療法として、化学療法を受けた17例中2例、エキセメスタンを継続投与した58例中2例で転移、局所再発が起きた。予後因子としては術前治療の臨床効果あり、プロゲステロン受容体陽性が良い予後因子となる可能性が示されたが、観察期間が短いため、今後の経過観察が必要とされた。また至適切投与期間についても今後の検討が必要とされた。