乳房温存手術後の乳房内再発には、残存癌細胞による再発(真の再発)と、二次癌が発生する場合の2種類があり、両者では予後に差があることが確認された。これは、埼玉県立がんセンター乳腺外科の吉田崇氏らの研究によるもので、成果は10月24日に京都で開催された日本癌治療学会で発表された。

 今回の調査は、埼玉県立がんセンターで乳房温存手術を受けた患者2234人を対象に行われた。調査の対象からは、術前の薬物治療を受けた患者と、両側乳房に癌が発見された患者は除かれている。真の再発の定義としては、手術周辺部で組織像の同じ癌が発生した場合となっている。また、二次癌の発生の定義は、手術周辺部から離れたところに癌が発生し、組織像が異なる場合だ。

 調査の結果、観察期間中央値31.6カ月の間に65人(2.9%)に再発がみられ、そのうち残存癌細胞によると考えられる再発は58人、二次癌が発生したと考えられる患者は7人であった。

 この両者で5年生存率を解析したところ、真の再発と考えられる患者の5年生存率は76%であり、二次癌が発生したと考えられる場合では5年生存率は100%となっていた。二次癌が発生したと考えられるグループでは遠隔転移が一例もみられなかったのに対して、真の再発が生じたグループでは遠隔転移が一部でみられたという。

 加えて、真の再発と考えられるグループでは、術後2〜3年頃が最も再発しやすく、術後5、6年で再発のピークがなくなるのに対して、二次癌が発生したと考えられるグループでは、術後の年数に関係なく癌が発症しており、なかには16年経過後にも癌が発見される患者が存在した。真の再発では、再度、温存手術を施した場合の再発率が、約4人に1人と、再々発リスクも高いことが明らかになった。

 真の再発のリスク因子としては、切除断端陽性と放射線非照射の場合が多いことも解析された。そのため、吉田氏は、真の再発を予防するためにも、断端陽性の場合は追加切除を行い、放射線照射を行うべきと考察した。

 乳房内再発は、これまでひとくくりにされ同じ治療が施されていたが、今回の結果から、真の再発と、二次癌では、異なる治療方針が必要であることが示唆された。吉田氏は、真の再発では再切除後に全身に癌が広がっていることを想定した薬物療法が必要であり、二次癌が発生した場合では、原発性乳癌に準じた治療で十分対応できるとしている。

 また、二次癌が発生した場合、腫瘍の大きさ次第では再度の温存手術が適応となり得るが、真の再発の場合、再度の温存手術は再々発のリスクが高く実施は慎重であるべき可能性も示されたといえそうだ。