第45回日本癌治療学会総会最終日の10月26日、「外来化学療法の現状と問題点」と題したパネルディスカッションが開催された。2002年4月の診療報酬改訂により新設された「外来化学療法加算」は、2006年4月の改訂でさらに点数の引き上げが行われた。こうした政策の影響もあり、どの医療機関でも外来での化学療法施行件数は増加の一途をたどり、化学療法を行う場は、入院から外来へとシフトしつつある。

 施行件数の増加に伴い、臨床現場が人員の確保をはじめとするさまざまな問題に直面していることが、本パネルディスカッションで改めて浮き彫りになった。司会は、癌研有明病院化学療法科部長の畠清彦氏と、東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野教授の石岡千加史氏が務めた。

 どの医療機関も、問題点として上げていたのが、限られた外来化学療法室の病床数で、増加する件数をどう効率よくさばいていくか、ということ。実際、抗癌注射剤の処方件数の推移により、既に外来での施行件数が入院での施行件数を上回り、対応の限界に近づいているとの指摘が複数の演者からなされた。これに関連して、抗がん剤の注射を看護師が行っているか医師が行っているか、施設により、かなり差があることも明らかになった。

CVポート留置の有用性を強調

 斗南病院腫瘍内科の辻靖氏は、2006年一年間の抗癌剤の投与経路の集計結果を示し、CV(中心静脈)ポートを約8割の患者に導入していることを明らかにした。これは、抗癌剤の血管外漏出事故を予防するという観点に加え、外来での高カロリー輸液を可能にしたり、将来的なモルヒネなどの鎮痛剤持続投与でも使用できるなど、緩和ケアへのスムーズな移行も見据えたものだという。「原疾患の悪化や副作用による食欲不振や倦怠感に、補液が有効であることが多い」(辻氏)。

 また、2005年8月から2006年7月までの1年間でCVポートを設置した115例を対象に、平均2年2カ月追跡したところ、抜去無しの生存42例、補助化学療法が終了し、抜去9例、合併症による抜去6例、死亡58例となった。抜去の理由となった合併症は、カテーテルの位置異常、皮膚障害、感染症、静脈血栓症、カテーテル断裂だった。

 辻氏は、「ポートの設置手技はさほど難しいものではなく、中心静脈栄養(IVH)と大差はない。穿刺により傷が残ることを十分患者に説明し、納得してもらえば、抜去時にも問題にはならない」と強調した。フロアからは、浜松オンコロジーセンター長の渡辺亨氏が立ち上がり、「素晴らしい意欲的な取り組みでぜひ参考にしたい」と賛辞を述べた。