抗癌剤の服用による爪の剥離や変色などの爪障害が、冷却グローブ(frozen grove)の使用によって軽減する可能性のあることが、ドセタキセル投与中の乳癌患者を対象にした多施設共同臨床試験の中間報告で明らかになった。大阪医療センターの戸高絹代氏ら研究グループが、京都で10月24〜26日に開催された第45回日本癌治療学会総会で発表した。

 研究では、ドセタキセルを3週間おきに60〜100mg/m2使用している乳癌患者を対象に、ドセタキセルの投与開始15分前からfrozen grove(Elasto-Gel frozen grove)を両手に装着し、投与終了15分後までの90分間、継続して装着した。2006年3月から2007年3月までの1年間で71人が登録され、年齢の中央値は51歳だった。

 グレード1以上の爪あるいは皮膚の障害が見られた患者は24人。この24人について分析した結果、投与コース数は4コースが20人と最も多く、投与量は75mg/m2が16人で最も多かった。グレード1の手の爪変形は9人、足の爪変形は9人で、手の色素沈着は8人、足の色素沈着が9人、グレード2以上は足の爪変形が2人に見られた。研究グループでは、当初グレード1以上の爪や皮膚の障害は50%と見込んでおり、それに対して発生頻度が少なかったことから、frozen groveが爪障害を予防または軽症化できる可能性があるとした。

 患者の自覚症状としては、苦痛を生じることなく過ごせた人が9人、手の苦痛を感じた人が9人、足の苦痛を感じた人が10人だった。具体的には、「見かけが気になる」といった美容面のほか、手の症状を訴えた患者では、グレード0〜1でも、「爪がわれやすい」「家事がつらい」、「パソコンの作業がしにくい」、足の症状のある患者では、爪の剥離により「靴がはきにくい」「歩きにくい」などの苦痛を訴えていた。

 このため、研究グループは、化学療法中は、悪心、嘔吐、倦怠感などの有害事象だけでなく、爪障害など日常生活のQOLに注目した管理やセルフケア支援が重要な課題であるとした。

 こうした爪の剥離や変色、変形などの爪障害は、ドセタキセルだけでなく、パクリタキセルやトラスツマブ、5-FUやS-1などでも報告されている。

 今回の学会の別のセッションでは、金沢大学医学部付属病院の外来化学療法室における爪障害の実態調査の報告もあった。2007年1月〜3月までに化学療法を施行した患者210人のうち、爪障害あるいは爪周囲炎が見られた患者は71人。同意を得た56人について分析した結果、ドセタキセルを含むレジメンでの爪障害の発生頻度は50%で、パクリタキセルを含むレジメンでは52%、5-FUでは19%だった。またドセタキセルを含むレジメンでは爪は褐色に変形し、爪剥離が起こる、パクリタキセルを含むレジメンでは爪の先端部が白く変色し、もろくなる、ゲフィチニブでは爪周囲に炎症起こすという特徴があったという。