進行胃癌の術前S-1/シスプラチン(CDDP)併用化学療法を行なう適応は、ステージ3患者と、ステージ4因子が1因子の患者とすることが妥当であることを、秋田大学消化器外科准教授の佐藤誠二氏(当時、京都大学消化管外科)らが、10月24〜26日に京都市で開催された第45回日本癌治療学会総会で発表した。

 術前化学療法(NAC)は術後化学療法と比べ、服薬コンプライアンスが高いことや根治切除の可能性を高めることから効果があるとする一方で、手術のみで根治可能な症例にまで投薬する可能性もあり、その適応には議論が分かれている。

 そこでまずNACが有効な症例を明らかにするために、平均1.82コースのS-1/CDDP療法を行なったステージ3、ステージ4の進行胃癌患者63例を対象に、全生存期間(OS)について後ろ向き解析を行った。その結果、OSの独立予後因子は、NACの後に治癒切除が可能かどうかという点のみだった(P=0.023)。

 治癒切除率をステージ別に解析すると、ステージ3では治癒切除率が95%と高かったが、ステージ4の症例ではステージ4因子が1つのみの場合の治癒切除率は68%(22例中15例)、2つ以上の場合の治癒切除率は32%(19例中6例)と因子数の違いで大きく異なった。ステージ4で1因子のみの症例で、治癒切除率が高かったのは、P因子(腹膜転移)の89%、Cy因子(腹腔細胞診で癌細胞を認める)の50%だった。

 これらのことから、ステージ3、ステージ4のP因子もしくはCy因子の単独陽性群が術前S-1/CDDP療法の適応にふさわしいとしたが、「この結果は、ステージ3において、ACTS-GC試験でのS-1の術後化学療法の有効性を加味していない。そのため、S-1術後化学療法を行なう計画としているならば、ステージ3の中でも、腫瘍サイズや、組織学的深達度を測定するなどして、さらに進行した症例をこのS-1とシスプラチン(CDDP)を併用するNACの適応とすべきだろう」と佐藤氏は語った。ACTS-GC試験では、D2郭清した胃癌患者に対してS-1を使った術後補助化学療法を行うことにより生存期間が有意に上昇したという結果が得られている。

 また、佐藤氏は「ステージ4も含め、NACの適応を決めるためにはCTや腹腔鏡検査で治療前評価を行うことが重要」と考えている。そのため、佐藤氏は、別の試験において腹腔鏡検査をすべき症例の条件を検討した。62例の患者を対象として、「腫瘍径5cm以上または短径10mm以上のリンパ節転移陽性例」もしくは「スキルス胃癌かつ、切除可能と画像診断されたステージ4の癌」を判定基準とした結果、62例中35例が腹腔鏡検査を施行すべき症例だと判断した。そしてこの35例を対象に腹腔鏡検査を実施した結果、ステージ3、ステージ4因子が1因子の病期の症例は25例(71%)だった。