再発卵巣癌および腹膜癌を対象とした国内のフェーズII試験で、リポソーマル・ドキソルビシンの有効性が確認され、プラチナ製剤抵抗性を示した患者での奏効率が21%になったことが明らかになった。久留米大学医学部産婦人科の牛嶋公生氏らが、10月24〜26日に京都で開催されている第45回日本癌治療学会総会で発表した。

 リポソーマル・ドキソルビシン(JNS002)は、塩酸ドキソルビシンをPEG化リポソームに封入した静注用の製剤。国内においてはエイズ関連カポジ肉腫に適応を有する抗悪性腫瘍剤として今年1月に販売承認を受け、2月に発売された。また同じく1月に卵巣癌の治療薬として適応拡大の申請が行なわれた。

 この試験ではセカンドライン治療として、卵巣癌および腹膜癌を対象に、リポソーマル・ドキソルビシンを1日1回50mg/m2を静注し、その後4週間は休薬した。74人が登録され、このうち初回治療としてプラチナ製剤の投与終了後6カ月以上12カ月未満に増悪した患者(プラチナ製剤反応群)は11人、6カ月未満で増悪した患者(プラチナ製剤抵抗性群)は63人で、有効性の分析は62人で行われた。

 投与コース数の中央値は4コース(1〜10コース)で、奏効率は全体では21.9%、プラチナ製剤反応群では27.3%、プラチナ製剤抵抗性群では21.0%であり、抗腫瘍効果のCRはそれぞれ2.7%、0%、3.2%だった。奏効までの期間はそれぞれ7.7週、8.0週、7.4週であり、奏効期間は全体で21.3週だった。観察期間(中央値)33.9週で、無増悪期間(TTP)は23.7週、22.7週、24.0週だった。このため、リポソーマル・ドキソルビシンは特にプラチナ抵抗性症例に対し有効な治療法であるとしている。

 グレード3以上の有害事象は、好中球減少が67.7%、白血球減少が60.8%、ヘモグロビン減少が17.6%、手足皮膚反応が16.2%に見られた。皮膚反応では、紅斑や腫脹、痛み、灼熱感などが、手掌や足底、腋窩や鼠頸部にも発現した。しかしこれらの有害事象は、薬剤の減量や休薬期間の延長などにより、管理可能だったとした。