静岡がんセンター放射線治療科部長の西村哲夫氏

 一般的に外科手術が優先される1〜2期の子宮頸癌において、患者の希望に基づいて手術あるいは放射線治療を選択した結果、治療成績には大差のないことが明らかになった。静岡がんセンター放射線治療科部長の西村哲夫氏と婦人科医長の平嶋泰之氏らの研究グループが、10月24〜26日に京都市で開催されている第45回日本癌治療学会総会で発表した。

 同センターでは、1〜2期の切除可能な子宮頸癌に対し、婦人科での治療方針や手術の説明に加え、放射線科を紹介し、手術と放射線治療を対等な選択肢として提示しているという。

 2002年9月から2006年4月の間に受診した、切除可能な子宮頸癌患者77人を分析対象としたところ、手術を選択した患者は53人(68.8%)、放射線治療は24人(31.2%)だった。手術を選択した理由は、「手術が確実と思った」、「早くすっきりしたい」といった回答が多く見られ、「放射線治療の副作用が心配」という意見もあった。放射線治療を選択した理由は、「切らずに治療を受けたい」、「手術の副作用が心配」、また若年者では「通院が可能、子供の世話で入院ができない」といった回答もあり、生殖機能はなくなっても、「子宮だけでも残したい」と答えた患者もいた。

 病期で分けると、1期の患者では手術単独あるいは放射線単独が56.6%を占め、手術後に放射線治療、あるいは化学療法後に手術、放射線治療後に化学療法といった2種類の治療法を施行した患者が24.5%、さらに術後に放射線治療および化学療法、化学療法後に手術および放射線治療、術前術後に化学療法という3種類の治療法を行った患者は18.9%だった。これに対し、2期の患者では、それぞれ8.3%、58.3%、33.3%と、複数の治療法を実施した例が多かった。

 観察期間は中央値で27カ月(4〜57カ月)。再発例は、手術選択群では53人中5人(9.4%)、放射線治療群では24人中3人(12.5%)だった。無再発生存率は、1年がそれぞれ94.2%、91.7%、2年が89.6%、86.5%で、3年と4年はともに89.6%、86.6%で、有意差は見られなかった。

 また治療期間を比較したところ、手術単独(21人)が最も短く、中央値で16日(95%信頼区間 12-20)、放射線治療単独(11人)では45日(同44-46)であり、放射線治療+化学療法(13人)では50日(同48-52)、手術後に放射線治療を行った例(7人)では75日(同65-85)、化学療法後に手術を実施した例(5人)でも68日(同0-139)だった。さらに、手術後に放射線治療および化学療法を行った例(10人)では131日(同123-139)、化学療法後に手術、そして放射線治療および化学療法を施行した例(8人)では133日(同104-162)に及んだ。

 医療費を算出した結果では、放射線治療単独が最も少なく、中央値で84万円(95%信頼区間 68-100)、続いて手術単独が123万円(同103-143)だった。手術後に放射線治療および化学療法を行った場合が最も高く、242万円(同234-251)で、医療費は治療法の数に従って増加した。

 研究グループは、「短期的な経過観察では治療効果や合併症に差はなかった」ことから、「現時点ではこの治療方針を継続することは妥当なものと考えられた」と結論づけている。