全身状態が良好でないPS3/4の小細胞肺癌患者でも、血清アルブミンや骨髄機能の低下がなければ、化学療法を積極的に行えることが、有効性と安全性を検討したレトロスペクティブ研究で明らかになった。6月15日から17日に開催された日本呼吸器学会(神戸市)で国立がんセンター東病院呼吸器科の釼持広知氏らが発表した。

 小細胞肺癌は肺癌全体の15から20%を占め、増殖が速く、脳や肝臓などに転移しやすいが、非小細胞肺癌に比べて、化学療法に対する感受性が高いといわれている。

 研究グループは、1992年7月から2007年5月までに、国立がんセンター東病院で診断された小細胞肺癌患者761人のうち、全身状態の指標であるECOG PS(performance status)のグレードが3あるいは4で、初回化学療法を行った48人を対象に分析した。

 患者の年齢中央値は66歳(53〜81歳)で、うち男性が42人、また喫煙者が46人だった。限局型が12人で、進展型が36人。ECOG PS3が41人、PS4が7人だった。ECOG PSグレード3とは、自分の身の回りのことしかできず、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす状態を、グレード4は全く動けず、一日中ベッドか椅子で過ごす状態を指している。

 初回化学療法とその奏効率は、カルボプラチンとエトポシドの併用が22人で、奏効率は50%、CODE療法(シスプラチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、エトポシド)が15人で奏効率は67%、シスプラチンとエトポシドの併用が9人で奏効率は78%、またカルボプラチン単剤が1人で奏効率は0%、エトポシド単剤が1人で奏効率は0%だった。

 評価項目を生存期間、PSの改善、化学療法開始から1カ月以内の死亡(早期死亡)としたところ、生存期間中央値は3.6カ月、1年生存率は20%と予後は不良だった。

 単変量解析で生存期間への影響を調べた結果、アルブミン値の低下(<3.0g/dL)、ヘモグロビン値の低下(<10.0g/dL)、血小板数の低下(<10×104/μL)が見られる患者では有意に予後不良であることが示された(ログランク検定でそれぞれp=0.008, 0.024, 0.002)。多変量解析でも血小板数の低下(<10×104/μL)が有意な予後不良因子だった(ハザード比は4.07、95%信頼区間1.28-10.88、p=0.007)。

 さらに生存期間中央値は血小板数が10×104/μL未満の患者(5人)では0.6カ月と短いが、10×104/μL以上では3.9カ月となった。

 PSのグレードが2以上改善していた患者は48%で、アルブミン値が3.0g/dL以上の患者で有意なPSの改善が見られた(カイ二乗検定でp=0.018)。早期死亡は13人(27%)で、早期死亡に関与する因子として白血球数(>1×104/μL)、ヘモグロビン値(<10.0g/dL)、血小板数(<10×104/μL)が挙げられた。

 副作用としては、グレード3/4の好中球減少は67%、発熱性好中球減少が41%、血小板減少は40%に見られた。

 これらの結果から、血清アルブミンおよび骨髄機能の低下を認めるPS3/4の患者では化学療法の効果が期待しがたいが、それ以外の小細胞肺癌患者ではPS 3/4であっても、化学療法を行うことができるとしている。