上皮成長因子受容体(EGFR)に変異を持つ非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、白金系抗癌剤など細胞障害性抗癌化学療法を行った場合よりも、ゲフィチニブを投与する方が無増悪生存期間(PFS)が延長できる可能性が明らかとなった。ゲフィチニブ投与の指標として、EGFRの遺伝子変異検索が行われた根治照射不能3B期、4期のNSCLC患者を対象に、化学療法とEGFR遺伝子の変異と効果・予後について調べたレトロスペクティブな研究の結果示されたもの。成果は6月15日から17日に神戸市で開催された日本呼吸器学会で愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科の吉田公秀氏によって発表された。

 NSCLC患者で遺伝子解析によって陽性だった65人(38%)と陰性だった108人(62%)から手術/胸部照射を受けた患者を除いた陽性患者49人と陰性患者52人を対象とした。変異陽性は33人(67%)が男性で、変異陰性は38人(73%)が男性で、変異陽性では32人が喫煙歴がなく、変異陰性は41人が喫煙歴があった。

 EGFR変異陽性患者42人のうち、24人がファーストラインとしてゲフィチニブの投与を受け、22人が白金系抗癌剤と他の抗癌剤との併用を受け、3人が他の抗癌剤の単独投与を受けた。陰性患者は2人がゲフィチニブを受けただけで、41人が白金系抗癌剤と他の抗癌剤との併用を受け、9人が他の抗癌剤の単独投与を受けた。

 セカンドラインとして、変異陽性患者35人は15人がゲフィチニブ投与を受け、17人が白金系抗癌剤と他の抗癌剤との併用を受け、3人が他の抗癌剤の単独投与を受けた。変異陰性患者30人は1人がゲフィチニブ投与を受け、18人が白金系抗癌剤と他の抗癌剤との併用を受け、11人が他の抗癌剤の単独投与を受けた。

 EGFR変異陽性患者のゲフィチニブの奏効率はファーストラインが87.5%(1例の完全奏効含む)で、セカンドラインで80.0%だった。変異陰性ではどちらも0%だった。EGFR変異と細胞障害性抗癌剤の奏効率はファーストラインが変異陽性患者で32.0%で、変異陰性患者で28.0%だった。安定状態(SD)を含めた疾患制御率では変異陽性患者が88.0%、陰性患者が60.0%で、変異陽性患者の方が高かった。セカンドラインでは変異陽性患者は奏効率は20.0%、変異陰性患者は6.9%で有意な差はなかった。

 EGFR変異陽性患者にゲフィチニブを投与した場合と、細胞障害性抗癌剤を投与した場合のPFSは、ファーストラインで中央値がゲフィチニブ投与群で6.9カ月、細胞障害性抗癌剤投与群で5.1カ月、セカンドラインでゲフィチニブ投与群で6.5カ月、細胞障害性抗癌剤投与群で4.0カ月とゲフィチニブ投与の方が有意に延長した。全生存期間はEGFR変異陽性群が24.3カ月、変異陰性群が12.6カ月と陽性群に有意な延長が認められた。