治療前CTにおける低吸収領域LAA)は治療関連肺合併症の危険因子である可能性が示された。6月15日から開催された第48回日本呼吸器学会学術講演会で、千葉大学呼吸器内科の水野里子氏が発表した。

 水野氏らは、治療前の肺癌患者256名を対象に、高分解能CTとスパイロメトリーを行い、CT画像の低吸収領域(LAA)、線維化所見(fibrosis)、すりガラス陰影GGA)をスコア化した。治療の過程で発生した治療関連肺合併症について、治療前CT、スパイロメトリー上の異常所見と対比させて、治療関連肺合併症のリスク因子を前向きに解析した。

 CTは大動脈弓上縁、気管分岐部、右横隔膜より1cm上、のそれぞれの読影部位を、4人の医師が独立して読影し、平均スコアを算出した。スコア化の基準は、LAAでは、LAAなし0点、評価スライス肺野の25%未満1点、25%以上50%未満2点、50%以上75%未満を3点、75%以上を4点とした。

 fibrosisスコアは、線維化病変なしが0点、小葉間隔壁肥厚、蜂巣化なしが1点、小葉間隔壁肥厚を問わない蜂巣化25%未満が2点、25%以上50%未満が3点、50%以上75%未満が4点、75%以上が5点とした。間質性肺炎かどうかの判断はしていない。

 GGAスコアは、GGA無しが0点、GGA5%未満が1点、5%以上25%未満が2点、25%以上50%未満が3点、50%以上75%未満が4点、75%以上が5点とした。

 解析の結果、対象256例のうち、小細胞癌23例、腺癌158例、扁平上皮癌49例、大細胞癌9例、その他17例だった。ステージ1が109例、2が13例、3が60例、4が74例。FEV1/FVC<70%が38.4%、%VC<80%が16.7%、LAAスコア1以上が58.2%、Fibrosisスコア1以上が31.6%、GGAスコア1以上が28.9%だった。

 19例に治療関連肺合併症が出現し、肺炎8例、急性間質性肺炎6例、放射性肺炎5例だった。治療関連肺合併症に有意に関連が認められたのは、喫煙とLLAスコアで、合併症がなかった群(合併症無し群)の喫煙者は34.8%だったのに対し合併症があった群(合併症有り群)では57.9%(p=0.028)だった。

 LAAスコアが1以上は、合併症無し群で54.9%に対し、合併症有り群では94.8%で(p=0.001)で、LAAスコアの中央値は合併症無し群で1.5(0-20.5)に対して合併症有り群は4.25(0-18.25)と、合併症有り群で有意にLAAスコアが高かった。スパイロメトリーやfibrosis、GGAとの有意な関連は認められなかった。