EGFRチロシンキナーゼ剤のエルロチニブは、症例を選択することでEGFR遺伝子変異陰性患者でも有用な可能性が少人数の臨床研究の結果明らかとなった。成果は11月13日から14日に北九州市で開催された日本肺癌学会で宮城県立がんセンター呼吸器科の前門戸任氏によって発表された。

 前門戸氏らはEGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌で抗癌剤既治療、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤未治療患者を対象に1日あたりエルロチニブ150mgを連日経口投与した。全患者数は14人で年齢中央値は60歳(40-73)、組織型は腺癌が12人、全身状態はPS1が6人、PS2が5人、PS3 が3人、喫煙者は5人、非喫煙者が9人。過去レジメン数は1が8人、2が3人、3が2人、4が1人だった。

 試験の結果、抗腫瘍効果は部分奏効(PR)が6人、安定状態(SD)が6人、増悪(PD)が2人で、奏効率は43%、病勢コントロール率は86%と高い効果を示した。14人のうち5人に6カ月以上の長期投与が行われており、5人全員が投与継続中で効果はPRが4人、SDが1人だった。SDだった患者の無増悪生存期間は平均3カ月で長くはなかった。

 有害事象は皮疹が全例に出現したがグレード3のものは1人だけだった。下痢は6人で見られ、グレード3が1人いた。グレード2の腎毒性が2人で認められたが、エルロチニブの直接作用より、併用薬との相互作用から生じたとしている。

 前門戸氏はEGFRチロシンキナーゼの未治療者、非喫煙者を対象に、2次・3次治療として、エルロチニブを投与することがEGFR遺伝子変異陰性患者で効果が高い要因だと考えられるという。また、エルロチニブは最大耐用量近辺に投与用量が設定されていることからCmax、AUCがゲフィチニブのほぼ7倍に当たることもEGFR遺伝子変異陰性患者で効果を発揮する要因だとしている。