新しい肺癌治療薬でEGFRチロシンキナーゼ阻害剤のエルロチニブが、実際に臨床の現場で効果を発揮し、有害事象も想定内の範囲であることが報告された。11月13日から14日に北九州市で開催された日本肺癌学会で九州がんセンター呼吸器科の隠土薫氏が同センターでの市販後投与症例の現状を発表したもの。

 九州がんセンターでは、2007年12月から2008年9月までに55人にエルロチニブが投与された。男性が27人で年齢中央値は61歳(33-81)。喫煙歴はありが28人でなしが27人だった。全身状態はPS0が17人、PS1が26人、PS2が7人、PS3が5人。前治療数は0が1人、1が9人、2が16人、3以上が29人だった。病期は3B期が8人、4期が47人。組織型は腺癌が49人、非腺癌が6人。肺切除歴はありが19人、なしが36人だった。ゲフィチニブ治療歴は、ありが31人でなしが24人。

 抗腫瘍効果は完全奏効(CR)は0人、部分奏効(PR)が6人(10.9%)、安定状態(SD)が18人(32.7%)で、奏効率は10.9%、病勢コントロール率(DCR)は43.6%だった。ゲフィチニブ内服歴のある31人について、エルロチニブの奏効率は9.7%、DCRは45.2%だった。エルロチニブの効果は、男女、組織型、喫煙歴、ゲフィチニブ治療歴、治療ライン数ではDCRには差はなく、唯一EGFR変異は陽性群がDCRが75%、陰性群が25%と差があった。

 一方、有害事象は、皮膚症状が高頻度に出現したが、グレード3の皮疹は1人、グレード3の口内炎は1人、グレード3の間質性肺炎が1人見られたのみだった。また、皮膚障害の有無と生存率の関係を調べたところ、皮膚障害なしに比べて、皮膚障害が出た患者の方が生存率が高くなることが分かった。このことから、皮疹の管理を十分に行いながらエルロチニブ投与を継続していくことが重要と発表グループは考えている。