胃癌の手術を行う際、どの領域のリンパ節にまで癌が転移しているかを見極めることは非常に重要だ。この手法として、手術中に赤外線内視鏡を用いた観察を行い、その結果を基に縮小手術の可能性を判断するセンチネルリンパ節ナビゲーション手術(SNNS;Sentinel Node Navigation Surgery)が、数年前から普及してきている。第80回日本胃癌学会総会では、センチネルリンパ節をテーマにポスターセッションが組まれた。



症例:30歳女性。小弯M領域の早期胃癌。通常光では観察しにくいが、赤外線では、胃の裏側からNo.7およびNo.8aのセンチネルリンパ節が染まっているのが観察できる。

 SNNSとは、手術中に腫瘍細胞を含むリンパ液が最初に流れ込むリンパ節(センチネルリンパ節)の同定・生検を行い、センチネルリンパ節に転移がなければ、その流域リンパ節には転移が無いと判断し、その流域リンパ節を郭清せずに縮小手術にとどめる方法のこと。

 手術中にセンチネルリンパ節を同定する方法としては、内視鏡的に病変周囲の粘膜下もしくは漿膜下にパテントブルーやインドシアニングリーン(ICG)などの色素を注入する方法と、放射性同位元素(99mテクネチウムスズコロイド)を注入し、γプローブで探索する方法、そしてこの2つを併用する方法がある。

 慈恵医科大学外科の二村浩史氏は、2000年頃から、積極的にSNNSに取り組んできた。同氏が行っているのは、ICGの吸収波長が805nmで赤外光の波長と一致していることを利用し、ICGを漿膜下に局注後、赤外線内視鏡を用いた観察を行い、センチネルリンパ節を同定するという方法だ。使用する赤外線内視鏡は、通常光フィルターと赤外線フィルターをスイッチ1つで切り替えられる。

 赤外線内視鏡というと、照射した部位が熱くなるのではないかと考えられがちだが、805nmは近赤外光のため、照射しても遠赤外線(1000nm以上)のような発熱はないという。二村氏は、「赤外線に切り替えると、半数くらい通常光観察では見えなかったリンパ節がある」と話す。通常光観察と赤外線観察がどのように違うか、二村氏に動画を提供してもらった。