胃癌取扱い規約が、9年ぶりに全面改訂される。改訂では、記載内容を大幅に見直し、分類のみの記載に簡素化し、治療に関する記載は全て胃癌治療ガイドラインに移行させる計画だ。規約の改訂版は、ガイドラインの改訂版と一緒に、来年の日本胃癌学会総会において公開される予定だ。

 胃癌学会総会で、2月29日に行われた公開討論会「胃癌取り扱い規約改訂とその問題点」では、改訂作業の現状や方向性が発表された。

 現行の胃癌取り扱い規約は、1999年に発刊された第13版。次期改訂版14版における改訂ポイントは、(1)リンパ節転移と郭清範囲に関する記載方法、(2)生検グループ分類の記載方法、(3)内視鏡治療の記載方法、(4)薬物・放射線治療の効果判定に関する記載方法になるという。これは、鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科学の夏越祥次氏により示された。

(1)リンパ節転移と郭清範囲に関する記載方法としては、リンパ節転移と郭清範囲の考え方を大幅に変更する。具体的な内容は、国立がんセンター中央病院外科の佐野武氏が発表した。佐野氏によると、従来の解剖学的N分類を廃止し、転移個数のみを指標とするN分類を採用する計画という。新しい分類は簡単で客観性が高く、予後をより正確に反映する。また、国際的にも利用できるという利点もある。ただし、これまでの分類のように手術の指標とはならないため、郭清範囲の決定には別の指標を利用することになるという。

(2)生検グループ分類の記載方法としては、大腸生検分類の記載と揃えるため、算用数字表記とする方向だ。また、分類内容を見直し、Group1「正常組織および非腫瘍性病変」(従来のGroup I+ II)、Group2「非腫瘍か腫瘍かの鑑別が難しい病変」(従来のGroup IIIの一部)、Group3「腺腫」(従来のGroup IIIの一部)、Group4「癌が疑われる病変」(従来のGroup IV)、Group5「癌」(従来のGroup V)とする方向性が示された。

 生検グループ分類の記載方法の改訂案については、会場からは、「生検グループ分類を残すことに意味があるのか?」という声もあり、分類そのものを廃止することも検討課題として指摘された。廃止の是非については、今回の日本胃癌学会総会の学会長を務めた国立がんセンター中央病院病理検査部の下田忠和氏から、「将来的には廃止することになると思う。ただし、過渡期ということで今回は残したい」という解説がつけ加えられた。

(3)内視鏡治療の記載方法としては、現行の「粘膜切除後の切除材料の取り扱いと根治度評価」の改訂案が発表された。同案を発表した国立がんセンター中央病院内視鏡部の後藤田卓志氏は、「現行の記載は現実的でないため、誰も使っていないと思う」と、同記載の臨床運用上の問題点を述べた。そして、切除自体の切除度評価と、切除による根治性を区別して表記すべきとの考えを示した。

(4)薬物・放射線治療の効果判定に関する記載方法としては、現在、国際的に薬物療法の評価基準がRECISTガイドラインに従って行われていること、日本癌治療学会もRECISTガイドラインを採用したことなどから、胃癌取扱い規約でも、改訂後はRECISTガイドラインに従った評価判定法を採用する方向性が示された。これは、都立駒込病院化学療法科の佐々木常雄氏が発表したもの。ただし佐々木氏は、「RECISTだけでは、これまでの規約が評価していた臓器別や組織型(低分化、分化型)の効果が評価しきれないという問題があることから、これまでの評価法も残す」という方針を示した。

【訂正】3月21日に以下の訂正をしました。
生検グループ分類の表記方法を記述している第5パラグラフで、

Group3「腺腫」(従来のGroup V)

とありましたが、正しくは

Group3「腺腫」(従来のGroup IIIの一部)
です。お詫びして訂正いたします。