胃癌に対する縮小手術の方法としては、腹腔鏡下手術が知られている。しかし、腹腔鏡下手術は手技が難しく、手術時間が長時間になりがちなことから、さほど患者負担の軽減につながらないとの指摘もある。これに対し、小切開での胃幽門側切除術は、手術時間が従来の手術と大差ない上に患者負担も小さく有用であると、東大阪市立総合病院外科の宮崎知氏が、第80回日本胃癌学会総会のポスターセッションで発表した。

 対象は、2004年1月から2007年12月に、同一術者により幽門側胃切除術を行った胃癌患者。皮膚の切開長が10cm未満の小切開法による手術が41人、同10cm以上の大切開法による手術が26人だった。まず、患者の背景因子を両群で比較したところ、年齢、性別、体格指数(BMI)、病期について差はなかった。

 平均手術時間は約180分で、両群間に差はなかった。一方、術中出血量、術後C反応性タンパク(CRP)最高値、術後入院期間については、いずれも小切開群の方が有意によい結果が得られた(p<0.05)。術後合併症の頻度を比較したところ、膵液瘻は小切開群2.2%に対し、大切開群14.3%と多かった。また、縫合不全、吻合部狭窄、創部感染は小切開群のみにみられたが、腸閉塞と胆汁瘻は大切開群のみにみられるといった違いがあった。

 宮崎氏は「BMI25以上の肥満患者では、術中出血量や手術時間が長くなるといった問題がみられたが、そうでない患者の場合、術後の炎症反応が軽度に抑えられるなど患者負担が少なくて済み、有用な方法と考えられた」と話した。