タキサン系抗癌剤のパクリタキセルは分子量が比較的大きな脂溶性物質で、腹腔内投与によって、静注時よりも高い腹腔内濃度を維持できることがわかっている。腹膜播種を来した進行胃癌患者にパクリタキセルとTS-1を用いたところ、多量の腹水を有する症例にも著明な効果が得られ、QOL改善の面からみても有用だったと、帝京大学外科の福島亮治氏が第80回日本胃癌学会総会のポスターセッションで発表した。

 対象は、腹膜播種を来した進行胃癌患者8人。パクリタキセル20〜30mg/m2を腹腔内投与、さらに50mg/m2を静脈内投与し、一部の患者ではこれにTS-1を80mg/m2で14日間投与、7日間休薬のサイクルで追加した。腹腔内投与は、腹腔内へのポート挿入もしくは腹水穿刺時に行った。

 その結果、3人で腹水の消失が得られ、さらに2人では腹膜播種の消失が得られた。福島氏は、「多量の腹水貯留例でも腹水が消失し、職場復帰できた症例も経験した。残念ながら再燃を来し死亡した症例でも、良好なQOLが得られ、有望な治療法と考えられた」とまとめた。