75歳以上の高齢者の進行・再発胃癌でも、腎機能を考慮して投与量を設定することで、S-1(商品名「TS-1」)による化学療法は安全に利用でき、また臨床効果も期待できることが確認された。これは、東京がん化学療法研究会(消化器グループ)が行った臨床試験の結果で、日本胃癌学会のポスターセッションで2月28日に発表された。

 これまでの臨床試験は、参加者の登録基準として75歳未満という制限が多く、75歳以上の進行・再発胃癌症例における化学療法の意義は明らかにされていなかった。そのため、今回の研究は、75歳以上の進行・再発胃癌を対象に、S-1単独投与を行い、臨床効果と安全性が検討された。

 試験は、評価可能病変を有し、前治療のない進行・再発胃癌33例が対象。これらの症例は、2004年7月から2006年9月に、同研究会に所属する12施設で登録されたもの。腎機能の指標であるクレアチニン・クリアランス(CCr)実測値もしくは推定値が30mL/分以上の患者を参加の条件としている。また、CCrが50mL/分以上では基準投与量80mg/m2/日、CCrが30mL/分以上50mL/分では1段階減量投与とした。S-1の投与は、4週投与2週休薬を1コースとして繰り返した。また、試験参加者の年齢中央値は80歳(76歳〜91歳)であり、身体状態(PS)は0〜2であった。

 その結果、抗腫瘍効果は、著効(CR)が1例、有効(PR)が6例、Minor response(MR:CR、PRには満たないがNCよりも奏効度が高い)が1例、不変(NC)が12例、進行(PD)が7例、中途脱落(NE)が6例となり、奏効率は21.2%であった。ただし、NEが多く、NEを除外した場合の奏効率は約3割程度になるという。また、NC以上の病勢安定化率は6割と高かった。全生存率中央値は15.9カ月(95%信頼区間10.6〜23.1)であった。

 グレード3以上の副作用としては、食欲不振が12.1%、血色素量減少9.1%、悪心と疲労が6.1%見られたが、好中球減少は3.3%、白血球減少は0%と低率であったという。

 今回の発表の座長を務めた国立病院機構大阪医療センターの藤谷和正氏は、「今回の結果から、S-1は高齢者においても、第一選択となるだろう」と語った。